はなし のコピー | ナノ
碓氷真澄

2023/05/20 21:23

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「真澄くんがいなくなった!」

寮に帰ると玄関先で姉に言い寄られガタガタ肩を揺さぶられる。は~?知らんし...てか帰ってきたばっかだし...。
部屋に戻ろうとする俺をひっぱたき(暴力)「いいから夕飯までに真澄くん連れて帰ってきて!だいたいアンタのせいなんだからなんとか探してきなさい!」だってさ...
仕方ないから脱いだ靴を再び履き、携帯だけ持って外に出る。出たはいいけど探すっつたってどこを探せば...あ~これはヤバイかもしれない。だって俺碓氷くんのことなにも知らねぇし...。

なんも知らねぇ~からとりあえず音楽聞きながら商店街 駅前 広場 片っ端ぷらぷらしてそれっぽいのはいなかったなぁ〜あ~結構時間経ってるなぁ~なんて思い馳せながら歩いてたらMANKAIカンパニーの劇場に来てた。あぁここも見てみるか~なんか鍵開いてるしってまじで軽い気持ち。
ロビーみてトイレみて楽屋みて 最後に客席
には座ってなかったけど舞台上に腰掛けて てか体育座りで丸くなってる碓氷くんがいた。
俯いて、何考えてるのかわかんないけど俺が来たのには気づいてないみたい、で、隣によいしょと腰掛けてやっと「っは!」って気づいたみたい。
普段もぼ~っとしてること多いけどさすがにやばいって気づけよ。
「姉さんに碓氷くん探してこいって殴られたんだけど、いなくなったってなに?」
「っ...」
一瞬俺を横目でみて 目線逸らして 黙る
思えばここ数日しつこく話しかけられることもなかったしまあ俺から話すことはないけど、おはようとかおやすみとかの挨拶を返さない日もあった(普段だったら俺が返してないのに)
思い返せば、結構ムカつくな。俺なんもしてなくね?
「なんでいなくなったの?俺のせい?」
いつも以上に語気強めになった。けどまあいいや。俺いつも語気強めだし。
「アンタ...あいつのこと」
そこで、はぁ、と一息吸って吐いて
今まで逸らしてた俺の目を見て「あいつのこと好きなんだろ」ってちょっといつもよりちょ~っとだけ震えた声で小さく言った。
...?
いやあいつっっっっっって誰~~~~~?!??
なにあいつって誰あいつって何言ってんのこいつ~?!
は?なに?どれ?って顔してる俺に続けて
「さっきの商店街で話してた女。前もあの女と楽しそうに話してた...!」
ッサ っと碓氷くんと目線を外したのは俺。
あの女 そ~っっか~...この前も...うんそっか~...
「黒髪ロングでセーラー服のリュック背負ってる女」
「あ゛ぁ... ....元カノ...だけど2年前に別れたし今は彼氏いるって言ってたし俺は全然好きじゃなかったから...付き合ってるっつっても1ヶ月とかそこらだし」
「嘘」
キッと不機嫌顔で決めつける。
嘘じゃねーよ?!付き合ってたことも好きじゃなかったことも全部本当にだけれども?!
「前見た時も、さっきも...すごく嬉しそうに話してた。俺と話すときはそんな顔しないのに」
ぐうの音もでねー
だって俺対人外面ブチ厚男だし~!
基本女子供じじいばばあには温和好青年の印象づけ野郎だからさ~
たとえ好きじゃなかった元カノ(1ヶ月)だったとしても笑顔で「え~久しぶりじゃん!元気?え今?付き合ってる人いないいない~笑」ぐらいのトーンで言っちゃうって~!...ってまあ置いといて。
「元カノ、とか言ってるけど好きなんだろ...」
「はぁ...いやまあ全然好きじゃなかったし今も全然好きじゃない。だから嘘じゃない今も昔もそういう感情はない」
ちゃんと目を見て言えば、今の今まで不安ですって暗い色をしていた紫色がキラキラ明るい色に変わり「良かった...」と控えめにそっと俺の手を握ってきた。俺より少しだけ小さくて指も爪も綺麗な手で。
接触は好きじゃない好きじゃないけど、これはまあ拒否するほどのことでもない。そんなに避けるほどのことでもないでしょ
「鳴未があの女のこと好きなのかもって思ったらずっと胸が苦しくて、たまらなかった...アンタに見捨てられたら生きていけない...」
ぎゅっと自分の胸元を握りそう訴える。泣きそな顔泣きそうな声。はぁ...ため息しか出ない
「言い過ぎ。俺は...」
「言い過ぎでも大袈裟でもない」
グッと握っていた手に力を込められギチギチにされる。いってぇ~な。腹立つわ。
空いてる手で碓氷くんの2色の髪をわしゃわしゃとかき乱す。もうこれでもかってぐらいわしゃわしゃと
やめろ とかなんとか言う碓氷くんが握ってる手をグッと引っ張ってそのまま抱きしめるとさすがに大人しくなった。
「...俺は、鳴未のことが好きで...やっぱり好きだなって改めて思った。他のやつのものになったらって思ったら目の前が暗くなった...。ねえ...誰のものにもならないで、お願い」
ぐりぐりと頭をこれでもかってぐらい押し付けて大好き と言って甘えてくる。
「はいはい。碓氷くんが俺のこと大好きなんのは知ってる。俺は誰も好きにならないから安心して」
ぽんぽんと背中を撫でるとッバと顔を上げて「ダメ。俺のことは好きになって」だってさ...。お前マジわがままが過ぎるからな...!

「た...ただいま...」
結局そのあとも劇場でグダグダ(やましいことはしていない)していて寮に帰ってきたのはかなり遅い時間になってしまった。
しかも帰り道手を繋ぐ?繋がない?論争で俺が負けて手を繋いでる状態で帰還なうだ。
「おやおやぁ~ラブラブだね」
「げぇ、うざった...」
談話室でチルってる東さんと幸さんにつつかれた。
いや~~!!俺はァ!!寮帰ったら手離すと思ってたんだもん~!靴脱いでなんで手繋ぎ直したァ~俺はバカだァ~!恥ずかしさで死ぬ~!
「あれっ?!なるっちとまっすーいつも以上にベタついちゃってる感じ~」
「いやベタついてるって...でもまあなんか仲直りできてよかったな」
三好さんは激萌えジャン~って言って俺と碓氷くんの写真撮ってるし皆木さんは肩バンバン叩いてくるし碓氷くんは三好さんの撮った写真ほしがるし俺の夕飯はないし悲しい。
御影さん 全然「めでたし めでたし」じゃないですよ...。

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