はなし のコピー | ナノ

碓氷真澄
10/24 Thu

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初めて見たのは入学式
次は1週間後の校庭
その次は音楽室 次は中庭 次は図書室
いつどこで見たか全部覚えてる
そこでなにしてたかも全部覚えてる。
でも向こうは俺のことを見てないし
俺のことを知らない。それってすごい悲しいしムカつく。
だからあの日。無理やりだったけど鳴未が俺を知ってくれたあの日
俺はやっぱりこの人が好きだ。

季節が一周してまた春がきた。
俺は2年になったし鳴未は3年になった
関係は変わらない。鳴未は恥ずかしがり屋でツンデレだったから俺を避けるし全然話してくれない。俺もあんまり自分から話すほうじゃないけど好きな人に自分を知ってほしい...とは...少しは思うから
だから今年こそ、鳴未が高校を卒業する前にはもっと...
なんてらしくないことを考えながら商店街を歩いていたら声が聞こえた...


中略
日暮れまでに劇団員を集めないと私の弟が四肢爆散して売り飛ばされてしまう...!
今いる団員はとってもいい子で前向き明るい佐久間咲也くんのみ!以上!
ストリートアクトをやってみたはいいものの大根×2(私と支配人)のせいで通行人から白い目で見られる始末...うぅ悲しい...
と悲しんでる暇は無い、バッと顔をあげるとふと感じる視線...!
その先にいる顔立ち綺麗な美少年!
弟と同い年ぐらいか下かぐらいの男の子
もしかしてずっと見てたってことは演劇に興味が..?!よっし...
「あの、演劇に興味はありますか?」
「...!」
近くに行きそう聞くとびっくりした顔でこっちを見てくる。「あ...えっ...」としどろもどろ目も泳いでる...。ん?
「あれ、真澄くん?」
すると横から咲也くんが気づいたのか声をかけてきた。心做しかますみくん?の顔がスンってしたような
「知り合い?」
「あ、俺は話したことはないですけどうちの学校の後輩で...鳴未くんの」
「お前、鳴未と一緒にいる邪魔なやつ」
鳴未?弟の...?いったいなに?
そして咲也くんを邪魔なやつ...?!
いったいいったい一体この美少年と弟の関係とは...?!
「劇団、って鳴未も入ってるの?」
「えっ?!」
さっきからこの子鳴未鳴未って...どうして...?
ん~っと考えを巡らせ思い返すこの1年...っとここでキュイーンと閃が!
「...もしかして!あなたが碓氷真澄くん?!」
「そう...だけど」
この子...この子なのね...
うちの弟のストーカー!!!
このストーカー気質...劇団存続のため...使わせていただきます!
「あー鳴未は...劇団員としては所属してないんだけど...あー...いる!いるから!存在はしてるから...!」
「なにそれ...まあいいや。鳴未がいるなら」


入る。
自分の口から出た言葉に自分が1番びっくりしたと思う。
道で大声で叫んでた女の人
あまりにも、あまりにも鳴未に似ていて立ち止まってしまった。
声をかけられ顔を覗かれた時、鳴未が女の人だったらこうだった?と思って口篭った。
でも近くで見たらやっぱり鳴未の顔のほうが好きだなって思った。
劇団をやってるらしい。
この人と鳴未はたぶん姉弟。だったらその劇団に鳴未が関わることもあるだろう
今年は頑張るって決めたから学校以外からも埋めていく。だから入る。


前略
父(失踪中)が持ってる劇団を姉と見に行ったらやばい大人に拉致られて手足ぐるぐる巻きにされてます現場からは以上です。そしてもうすぐ制限時間です。
刻一刻と迫る中ロビーからドッタンばったんと聞こえてきた
「よかったな。逃げはしなかったみたいで」
「ははー...」
まあこれで売り飛ばされもそれもまた人生ってことだよねーって思ってたけどまだ大丈夫そうでよかった...
「新入団員...連れてきました!」
ぜぇはぁする姉と支配人の後ろにみえる
咲也(この子は俺のクラスメイト)と大きめのお兄さんと
「(げえええ!!!!!)碓氷くん!?!!!!!!?」
碓氷真澄....!!!!!ちょっちょっちょ....!俺のストーカーじゃん?!?
きらっきらの目で俺を見てる碓氷くんと(ごめーん鳴未の事情は知ってるけどそれどころじゃないし許してね)って目の姉...
まあ...まぁ俺劇団に関係ないし今回はただ人質されてただけだから仮に碓氷くんが団員として入ったとしても俺は団員じゃないわけで...
「お前が借金を返せないならこいつの臓器がいくつかなくなるぞ」
「...え?!まじか」
なんの話か聞いてなかったけど俺の臓器がなくなるらしい...ふたつあるやつにしてください。
「鳴未くんの臓器で借金半分ぐらいになりませんかねー?」
「支配人!なんてこと言うんですか?!...せめてふたつある内臓系で...」
「あんたもなんてこと言ってんすか...」
やだなぁあんな大人になりたくないなぁ~
なんて俺の臓器の話をしてる遠目で碓氷くんだけがガツガツ客席割ってこっちに来た。ヤダヤダちょっと怖いんだよねこいつ...。
「...この人に触るな。髪も目も腕も体も臓器も売らせない」
「...そうかよ」
へえ意外とガッツあるなぁコミュ障だと思ってたのに...
古市さんと睨み合ってたけどバッと俺のほうを向いた。
「ぐるぐる巻きにされてる鳴未もかっこいい...このまま連れて帰りたい...」
「えヤダけど...見てないでガムテ取ってほしいなぁ」
「...やだ」
なんでだよ...!!!
やっぱこいつわかんねーや!!!
一生分かり合えない!!!

追記


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