風紀委員会活動日誌 | ナノ


6/5 渋川千夏

 我妻くんと二人の帰り道も、もうなんだか慣れてきた。依然として不審者は捕まらないまま、被害情報だけが増えていく。ただ、被害の情報を聞く頻度は減ったし、どれも被害者は16歳の女子らしく、前よりは対策がとりやすくなったとは煉獄先生の言だった。

「……修学旅行、か」
「まだ先なのにね」

 毎日登下校で話していれば、その内容は宿題だとか帰りのホームルームでの話だとかになる。修学旅行の話は後者で、明日のホームルームで決めるから二人一組になっておけよって言われたってだけの話だ。男女二人ずつの四人組になるから、四人とも同意しているなら予め四人で申請してもいいとのこと。話が急すぎる。

「私は綾木さんと組もうって話をしてたんだけど、我妻くんは竈門くんとでしょ?」
「まあ、いつも通り炭治郎とだよ。どの男子ペアととかは決めてるの?」
「全然。綾木さんも私もそんなにどうしても一緒になりたい男子いないしさ」

 てか、もし仮にお付き合いをしている人たちがうまいことペアを作ったとかしたところでそれが半年先まで持続していることの方が少ない気がする。別れたあとに修学旅行の自由行動班が同じって気まずくないかな。別れる可能性を見据えて特に申請しないってのは、そんなのするくらいならもう破局秒読みじゃんって感じだけど。

「じ、じゃあ俺たちとかどうかな!?」
「え、えぇーっとどうしよっかな、私はいいけど綾木さんと竈門くんの許可も取らないと……」
「炭治郎は知り合いならいいなって言ってたし、多分なんとかなるって! 綾木さんの説得は頼んだ!」
「はぁ……まあいいけど。ちょっと聞いてみる」

 メッセージアプリの画面を開く。登録してある友達の欄から白い糸で綾取りしているアイコンを見つけた。

『我妻くんに修学旅行の班組まないかって誘われたんだけど。あっちは我妻くんと竈門くん』
『渋川が我妻の面倒見るならそれでいいよ』

 面倒見るって私に何をさせる気なんだ、綾木さん。

「……我妻くんの面倒は見たくないらしいから、あんま騒がないようにしてね」
「うっひょぉぉぉ!! やったぜ渋川さんと一緒ぉぉぉ!!」
「それが騒がしいんだってば」

 ……半年後の私、ごめん。我妻くんの面倒見るの、頑張って。
 橋の上で狂喜乱舞する我妻くんを見ながら、未来の自分を案じた。

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