ご祝儀ってことで。




「あ、日向くん。待たせちゃってごめんね」
「いや、俺も今来たところだし」
「今日は練習、ないんだね。ここのところ毎日部活だったんでしょ?」
「ああ。まあ部活って言っても半分以上ケーキ食べながらだべったり澪田の思いつきで振り回されたりって感じなんだけどな」
「……あ、そしたらそのうち部室に冷蔵庫とか給湯ポット入りそうだね」
「そんなことになったらそれこそ部活の本筋から脱線しすぎだとは思うけどな……。まあ澪田もけいおんやって放課後にケーキ食べたりしたいって言ってたし、これでいいのかもな」
「日向くんが楽しめてるみたいでなによりだよ。今日はね、そんなけいおん部ライフをエンジョイしている日向くんにプレゼントしたいものがあって、それで呼んだんだよ」
「プレゼント?」
「とりあえずゲーセンに行こう! プレゼントはそこで渡すよ」
「わかった。いつもの所でいいのか?」
「うん。あんまりここで長々と話すのも時間がもったいないし、急ごっか」

「……あれ? そっちの方何か新しいゲームでもあるのか?」
「ううん。ここのゲーセン、この前配置を入れ替えたみたいなんだ。だからこっちには、これから日向くんがよくやることになると思うゲームがあるんだよ」
「よくやること……?」
「じゃあ、プレゼント用意するからちょっと待っててね」
「用意する? いったい何なんだろうな……」

「おまたせ日向くん。はい、これ」
「えっと、……なんだこのカード?」
「このカードはね、いろんなゲームの個人データを記録できるんだ。それじゃ、さっそくやってみようよ! ほら、日向くんが澪田さんにスカウトされたときに二人でやってた、あのギターとドラムのやつ!」
「ああなるほど、そういう……。ありがとな、七海」
「これで練習するときは私も呼んでね。日向くんと一緒にゲームやりたいし」
「そのうち七海に勝てるようになってやるからな!」
「ふふ、受けて立つ、だよ! ……と言いたいところだけど、これ対戦ゲームじゃないよ?」
「……そういえばそうだったな」


「……なあ、なんでオレたちこんなことしてんだ?」
「えー? 創ちゃんの恋の行方を……って思ってたっすけど、なんつーか恋でも何でもなさそうっすね」
「うーん……あとは、霧切さんの腕前を確認する、とかかな?」
「……城咲さん、何か勘違いしてないかしら? 私、浮気調査は専門外なのだけれど」


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