UFOキャッチャー指南の巻




「……ごめん、日向くん。ホームルームが長引いちゃって遅れちゃったよ」
「いや、そんなに待ってないから大丈夫だぞ」
「あ、そっか……あれ? そっちの子は?」
「この前言った、クレーンゲームがうまくなりたい後輩だ。ほら、けいおん部の」
「ああ、えっと……名前、よく澪田さんから聞くんだけど、忘れちゃった」
「あぁっと、ええっと……城咲未明です!」
「あ、そうだ。『未明ちゃん』だよね。よろし、く……zzz」
「これからゲーセンだぞ?」
「はっ! ……そうだね、それじゃあ早く行こう!」

「……城咲、どれか欲しいのはあるか?」
「ぬいぐるみ系の……えっと、この前シロクマだったので今度はあのヒグマのやつが気になります」
「zzz……」
「七海、城咲が決めたから教えてやってくれ」
「むにゃ……あ、決めたの? この形式のやつはね、ぬいぐるみの真ん中を押し込むようにするといいんだよ。教えてあげるから、やってみよう? ね、城咲さん」
「真ん中を……? とりあえずお金は入れましたけど」
「これだと……多分、ちょっと手前にずらしてから首の真ん中を突っつけばいい感じにいけるはず! この機種だとアームが程よく固いから目安6回かな」
「目安6回……ひとまず多めにとって8回分くらい入れとけばいいでしょうか」
「うーん、そんなにいらないと思うけどなあ」
「それじゃあとりあえず600円……っと。手前側にちょいちょいってずらすんですよね」
「そうそう、その調子だよ。それでもうそろそろ首を押し込むように攻め込むといけるはず」
「首を押し込む……えいっ!」
「おー、ナイスだよ城咲さん」
「よし、それじゃあ袋もらって帰るか」
「お二人とも、ありがとうございました……!」


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