1:Goodwill party-1


「……イナズマジャパンのキャプテンは来てないの? 面白そうな人だからお話ししようと思ってたのに」
「シオン、そう拗ねるな。話を聞く限り体調不良というわけでもないようだし、来るまでに事故に遭ってなければいいが」
「事故はないでしょ、車で来るんでしょうし――ああ、車は既に来てる」

 イナズマジャパンの運転手の男性のハットを近くに見つけ、どうしたのかしらね、とため息をついた。グラスが空になったタイミングでフィリップと別れて、話しかけられそうなジャパンの人を探す。賑やかに――正確に言えば騒々しく喋る選手の集団をはじめとして、チームの内で固まっているし、こちら側もその固まりが解けるのを待ちつつ仲間内で話している。……こちらが主催の懇親パーティーなのだから、ジャパンの側が私たちに話しかけてくるのが筋じゃないの、とは言わないけれど、大体皆思っているはず。

「すいませーん、遅れましたー!」

 そんな声が聞こえて、会場の入り口を見る。イナズマジャパンのユニフォームを着た男性と、彼に背負われたドレス姿の女性の2人組。どちらも紙面で見たことがあった。男性がジャパンのキャプテンで、女性がマネージャーの1人。女性の手にソールのめくれた靴があって、それで彼女を背負ってここまで走って来たから遅れたのかもしれない、と思った。ユニフォーム姿である理由は分からないけれど。
 エドガーがセバスチャンを呼んで、女性の靴と男性のタキシードを手配してもらうように頼んでいる。あちらはエドガーに任せて、ジャパンの選手に挨拶――しようとは思えないのよね、これが……。


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