Prologue




「……あれっ?」

 ある日の放課後、珍しく仕事もないので学校のホールの照明を弄っていたら、昨日までは付いたそれが壊れてしまっているようだ。幸い今日はどの部活もホールを使う予定はなく、今日のところは撤退して先生に照明器具が壊れた旨を伝えてから帰ろうと決めた。 
 学校から課題と指定された劇の照明プランを見直しておこうと思ったのになぁ、と私は息を吐いた。実技試験の事前課題だとは聞いていたけれども、これじゃあ最終確認もままならない。早いところ直してもらわないと。試験までに直ってなくて、それのせいで失敗して退学処分にされたら困るし。照明盤の横に置いた台本を丸め、カーディガンのポケットに差し入れた。


 職員室のドアを開けホールの管理係の先生を探す。きょろきょろとあっちこっちに視線をやっても見つからない。肩を落としてため息を吐いた私の目の前に、ある人が現れた。
 それは私のクラスの担任の先生で、私が事情を話すと先程の私のように辺りを見回した。それから先生は、一つ上の代――77期生のある先輩のところに行くといいよと教えてくれた。



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