uno

今日も今日とてジョセフさんの悲鳴が響き、シーザーの怒号も響いた。「よくやるわよねェ」なんてスージーQは呆れ、二人で天気のよさに顔を綻ばせたのが今朝のこと。

薄手のシーツなんかは既に乾いてしまっている午後、買い出しに行ったスージーQに代わり、私が洗濯物を取り込むことになった。何時もなら様子を見て声を掛けてくれるシーザーの姿はなく、それを期待している私も、なんというか。別に一人で出来るんだから。正直なところ、彼を捜したのは手伝ってほしいからというよりはこう、話をしたいからというのが大きくて。相変わらず回りくどいと自分でも思うけど。


「………」


ああ、ああ。シーザーの口癖を借りるならママミーヤ。目を閉じてくつろいでいる、のではなく、眠っている。シーツが日差しを遮っていて都合がよかったのか、日除けがなくなった途端に眉を寄せてしまった。


「…………おき、ない」


疲れているんだろうか。
前々からだし、シーザーはリサリサ様を尊敬しているから(女神、と言っていたか)手を抜くことはない。悪化は言葉が悪いけど、より力が入るようになったのはやっぱりジョセフさんの存在だろう。シーザーは兄弟子、無意識のうちに手本になろうとしているのかもしれない。


「…シーザー、寝てる?」


風に揺れる金髪。そっと手を伸ばして触れてみても、シーザーは反応しない。起きない、寝ている、大丈夫。結果的に同じようなことを唱えて顔を寄せてみる。

口、は、最初からする気はない。頬か額か。こんなことをするのは、あまり褒められはしないだろうけど。気持ち良さそうに寝ているのにごめんなさい。起こしてしまったらごめんなさい。疲れているのに、ごめんなさい。そう感じるくらいなら止めたらいいのに。


「――っ…」


体が動き出す前に固まって、私の視線の先には変わらず寝息を立てるシーザーがいる。


「……無理…変なこと考えて、ごめんなさい」


私に出来るのは、「手伝おう」の一言を待つことと、心の中で想いを告げることくらいだ。



20131109

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