真意

タピオカはどういうつもりで、手紙になる予定だった一枚の紙をさくらちゃんに託したのだろう。書きかけということはつまり、アキラくんはこれを完成させる気も渡す気もなかったということだ。


「黙っててごめん、は今回のこととして…」


私の名前とその一文。「必ず話すから戻るまで待っててほしい。会いに行くから」以降は何も書かれておらず、この後に続くだろう正しい答えはわからない。


「…タピオカが勝手にやったのかな」


というか、避難所に来たなら声を掛けてくれてもよかったのに。実際そんな悠長なことを言っている場合じゃなかっただろうし、全部が終わったらと約束した手前もあるのかもしれないけど。


「会いに行くから、行くから。行くから待ってて、はその前に書いてるか」


さっきからニュースは四人の話で持ち切りだ。二十五歳。今思えば確かに高校生には見えないよね。アキラくんの転校初日は他に突っ込むことが多過ぎて聞いていなかったけど、年齢に関して何か言っていたのだろうか。馴れ馴れしいかと思って山田くんと呼んでいたのもあれだった。山田さん、と呼ぶべきだったのか。


「……いや、うん」


アキラくんの様子を思い出すとどうにも都合のいい妄想ばかりを繰り広げてしまう。上手く言葉が纏まらなかった、気恥ずかしかった。これも、聞いてみたらいいのだろうか。


「戻るまで待ってて、か」


伝えたいこと。
アキラくんが話す前に、この想いをぶつけてしまってもいいかもしれない。



20120710

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