交流

「夜ご飯」
「は?」


この夕方と夜の狭間と言えばいいのか、橙から藍色に変化していく空は綺麗だと思う。薄紫の空も綺麗だな。山田くんに伝えてみようかと思ったけど、そんなことを突然言われても困るよね。あと、反応薄そうだし。そこに至ったというのに、より無意味且つ困惑する単語を吐き出してしまったのは何故か。案の定山田くんは首を傾げている。


「の、買い物に行ってたんだけど」
「作るの?」
「いや、買い忘れ。お母さん手が離せないから行ってきなさい!って」
「…へえ」
「山田くんは何が好き?」
「これっていうのは…あ、カレーはよく食べるかな」
「…そうなんだ」


思わずターバンを見てしまった。やっぱりカレー好きなのかな。スパイスから作ったりとか、こだわりのカレーライス、みたいな。


「釣りって、何したの?」
「釣りは釣りだよ、シイラとか」
「とか?」
「…まあ、シイラ釣り」
「ふうん。女の人もいた?」
「興味ある?」
「え?あー…どう、なのかなあ…」


釣りに興味があるではなく、山田くんが気になるが正しい。ここ数日は釣りをしていた、それもシイラ釣り。その情報を得たことで、気分が高揚しているし。


「……ねえ、山田くん」
「ん?」
「今日みたいにさ、話し掛けてもいい?」



ガア。
山田くんの代わりか、タピオカが高らかに鳴いた。



20120519

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