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視線を感じて顔を向ければ逸らされる。何度か繰り返される行為が愛らしくて、おれはつい笑みを零してしまった。こうやっておれに対して頬を染めるシニョリーナは、何と表現をすべきか非常に悩ましいものである。


「話なら聞くが?」
「話じゃないの、大丈夫」
「そうかい。ならいいが」


さて、なまえがこんな風に奇妙な行動を取るようになったのは数日前から。おれの態度は何も変わらず、JOJOの奴への態度も変わらず。元々おれには照れたような素振りは見せていたわけだが、最近の反応は照れというより後ろめたいことでもあるのかと感じるそれだ。いやまて、JOJOへの態度も確かに慣れたものだが、少しばかり怪しくはなかったか。


「…シーザー、そんなに見られると困る…」
「ん?ああ、シニョリーナを眺めていたくなったものだから、つい」
「何か話してよ」
「なまえがそう望んでくれるのは嬉しいが、それは不公平じゃあないか?」
「そう?」
「君は話があるのに隠しているだろう?…JOJOの奴と」


一瞬の間ののちに返ってくる「そんなことないわ」の言葉。まったくこのシニョリーナは駆け引きに向かない。これでJOJOがなまえを嗾けたのは明白、何か言いたげにもぞもぞと動く唇は子供を思わせる。まあ子供の表情は頬を染めてもおれを刺激するものではないから、この例えは間違いなんだが。


「………」
「JOJOのくだらん意見は気にするな。どうせ何も考えちゃあいないんだ」
「くだらなくは…確かに面白半分ではあるだろうけど、でも何も考えてないなんてこと」
「やけに肩を持つな」
「シーザーの勘違い、……シーザー」
「今度は?」
「その、ゴミ。髪の毛に糸屑がついてる」
「それは気づかなかった。シニョリーナ、取ってくれるかい?」
「ええ」


そう離れてはいないというのに腰を浮かせ、距離を詰める。おれとしては悪くないが成る程な、やはりくだらん意見じゃあないか。ただでさえ照れたり必死なところ申し訳ないが、だ。


「なまえ」
「シーザー、髪の毛…」
「芝居もJOJOに習ったほうがよかったんじゃあないか?赤くなりすぎだ」
「何の」
「出来ればそう、JOJOに乗せられるんじゃなく、なまえの意思で行動してほしいかな?」
「………っ!?」


近づいた頬や唇ではなく、捕まえた掌に口づけを。



20140114

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