慣れるということ

「………疲れました」
「はい、ご苦労様です」
「何なんですかね。人の話聞いてるんでしょうか、ジン君」
「思い込みの暴走がはじまると、聞いてないでしょうね」
「思い込みって言い方は…思い込み、かあ…」
「あれ?違うんですか?そうなるとミョウジさんはラグナ=ザ=ブラッドエッジに友情以上の想いを抱いているということに――」
「それはないっ!ないですっ!!」
「そんなに慌てなくても」


両手を振って否定をすれば嫌らしく歪む唇。ほらみろ、化けの皮が剥がれてきた。というか何で今日はハザマでいるんだろう。仕事は終わり、もう家だって近いというのに。


「…ヒヒッ」
「…今日は長かったですね」
「だって、いたら困るでしょう?思い込みの激しい暴走くんが」
「………いないでしょ」
「おーヒッデェ顔。まあな、あの弟に睨まれたら心臓止まるわな」
「テルミさんでも?」
「俺は別に」
「…何なんですか」
「お?ガッカリした?一瞬嬉しかったりしたわけ?俺と一緒で」
「…別に」
「へえ?」


嬉しいわけないでしょう。単純にテルミさんにも怖いものがあるのかとか、そんな風に思っただけで意味はないし。

それにしても、最初は戸惑ったこの変化も今では当たり前のように受け止めるというか受け流しているというか。いいんだろうか、これで。


「テルミさんこそガッカリしたんじゃないですか?私と一緒じゃなくて」
「はい?何自意識過剰になってんだァ、ナマエちゃあん?」
「このっ…!」


嫌味だよ嫌味!絶対知ってるけどね、この人!



20131127

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