同居人の友人

私が出ます。そう立候補したのは運命だったのだろうか。扉を開くと緊張したようなラグナがいて、失礼ながら笑ってしまった。案の定ラグナは苛立ちに眉を寄せ、口許は不機嫌そうに弓形になる。


「あれ?何で?」
「前、師匠にもらった手紙で。住所からここらへんだろうと…」
「道々聞いたの?」
「ま、まあ」
「何でまた」
「…やっぱ、不安だろ。だから」
「またジン君に睨まれるよ?」
「ジンは関係、どっちかっつーとテルミだテルミ」
「まだ納得してない?」
「………あいつは、まともじゃない」
「…知ってるけどさ」


私は今日は講義がないから休みだけど、ラグナは昼からなのかな。それともバイトに行くついでに、とか。いや、ついでで家を探したりはしないか。ならこれは歴としたラグナの用事ということなのか、むずむずする。


「おいこらミョウジ、とっとと扉閉めろや風邪引くっての。あと食器洗え」
「風邪ってテルミさんがですか?」
「他に誰がいるよ。おっさんとハクメンちゃんとは違って俺様繊細なの」
「えー…というか食器くらい洗ってくださいよ」
「テメェは丸一日ド暇じゃねえか」
「テルミさんだって!………仕事、ですね」
「わかってんならお仕事しましょうねェ〜ナマエちゃん。つーわけでラグナ君は帰った帰った、お邪魔虫だってわっかんねえかなァ〜?」
「ラグナはお客様ですぅ〜!テルミさんみたいに招かれざる人じゃなくってお招きした人ですからぁ」
「…ウッゼ」
「テルミさんに言われたくないですね!すっごく!」


顔を出したと思えばこれだよ。何だろうな、同じ「食器を洗ってね」の一言でもテルミさんは腹が立つ。ヴァルケンハインさんとかハクメンさんに言われたら素直に聞くんだけどね、差だよね、仕方ないよね。


「騒がしいぞテルミ。ナマエ=ミョウジ、何があった?」
「ハァ?俺様悪い前提?先に騒いでたのミョウジだろうよ」
「――…ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」
「……おっ、お久しぶりで御座います、お面やっ――じゃなくて、ハクメン」
「………ラグナ?」
「知り合いか、ナマエ=ミョウジ」
「まあはい、友達…です」


すごく引き攣ってるけど大丈夫だろうか。ハクメンさんには助けてもらったんだよね、確か。



20131107

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