ご飯食べましょ

「まー及第点?」


頬杖をついて仕方なく、というように食べ進める姿に苛立ちが込み上げる。声色から言い放った姿から、全部に腹が立つ。そりゃまあテルミさんのために作ったことになるけどさ、それにしたってなんだ。もっとこう、なんかあるだろう。この人彼女いないんだろうな。いたところでまるで自分のことしか考えてない注文祭に一日と持たずに別れるに決まってる。


「…ハクメンさんは?」
「必要ない。好意だけ、受け取っておく」
「……はい」


それもそうか。
テルミさんの態度に納得するのと同じくらい納得する。だって口ないもんね、うん。外せるのかもしれないけど、普段からこれで生活してるってことは意味のある姿なんだろう。少し、感想を聞いてみたかった気もするけど。


「マジ普通だなこれ」
「文句あるなら食べなくていいですけど」
「は?普通でも作れりゃ上等だろ。美味くねぇけど」
「………」
「おっさんが狂ってんだよ。普通普通、嫁にはいける程度だから安心しとけ」
「…ありがとうございます、テルミさん」
「どーいたしまして」


暴言ではない、けなされてもいない。ならば何だろう、この屈辱感は。普通普通と連呼しながら箸を止めることなくテルミさんの食事は進んでいく。元々二人分にしては少ないかも、な量を作ったから問題ないけど、ムカつくな。


「…今日みたいにヴァルケンハインさんがいない日ってどうしてたんですか?」
「基本的に各自だわな。猫又もナインに拉致られること多かったし、ハクメンちゃんは見ての通りだし」
「テルミさんはあの――…レリウスさんと食べに行ったりは」
「誰がするかよ」
「はあ」


そう仲悪くは見えなかったけど、テルミさんの表情は心底うんざりといった感じで。私自身は言葉も交わさなかったしまだ一回しか会ってないから、何とも言えないか。


「…充分に休息は取った。私は先に作業に戻る」
「あ、私も!私も行きます!」
「頑張ってねお二人さーん」
「テルミ、貴様もだ」
「ハクメンちゃんいりゃ充分だろうがよ」


綺麗に食べてくれたってことは、本当に嫌いではないんだな。



20131003

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -