共同するということ

部屋の隅に寄せられた段ボールはハクメンさんの気遣いなのだろう。取り敢えず今日は布団さえ引っ張り出せたらいい、片付けはまた追い追いだ。


「…ハクメンさんって何時帰ってくるのかな」


ヴァルケンハインさん曰く帰りは決まった時刻ではないとのこと。相手の都合で大きく左右される、のだとか。一体何の仕事なんだろう。


「ミョウジ殿、よろしいですかな」
「あ、はいっ!」
「荷物なのですが。明日ならばハクメンもテルミも暇を持て余しておりますので、存分にお使いください」
「…いいんですか?」
「勿論。女性の細腕では何かと苦労なさるはず。私も手伝えたならよかったのですが、明日は泊まりの予定がございまして」
「泊まりの!」


ノックと呼び掛けに顔を出せばヴァルケンハインさんとテルミさんの姿。無理矢理引っ張られました、という色がだだ漏れのテルミさんはたった今欠伸を噛み殺した。別にそんな、興味を持ってほしいとかじゃないんだけど。何だろうな。


「おっさんは愛する可愛い幼女の介護に行かなきゃなんないんだよ。俺は休み――…余計な仕事が入ったけどな」
「どうせ予定のない身だろう。それから貴様、」
「あーはいはい。麗しくて繊細で儚いお嬢様、でしたねー」
「とっ、取り敢えず、ヴァルケンハインさんはお仕事、なんですね」


家庭教師とか。でも泊まりって何。テルミさんの口振りは明らかに煽っているけど、ヴァルケンハインさんがそのお嬢様とやらを大切にしているのは本当らしい。それからテルミさんを心底嫌っているのも。うん、一緒に暮らしている意味がわからない。


「これは殺しても死なぬ男ですから、好きに使って構いません。それから。明日の手伝いだけではなく、入り用があれば遠慮などせず我々に声を掛けていただければと思います」
「は、はい」
「で?何持ってきたんだよメスガキ」
「ちょっ、そっちは駄目です!!」
「これから一緒に暮らしてくんだ。明日は荷解きの手伝いだし?把握しとくのは当然だろ」
「関係ないです!それは勿論お世話になりますけど!!」


急にやる気を出したと思ったら!



20130909

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