おまけ

「郭嘉」
「はい」

曹操殿がお戻りになって早数ヶ月、私も断たれていた日常を満喫している。やはり人生はこうでなくては。酒は旨いし女性は華やかで美しい、まったくいい人生だよ。

「おぬしの仕事ぶりには感心するばかりよ。何時もすまぬな、助かっておる」
「どうなさったんです、急に。…何か」
「何かと言えば何か。わしでは手に負えぬ事柄でな」
「曹操殿でも?――私でお役に立てるのなら、お聞きします」
「…そうか」


口角が上がる。それを見届けると何故か、寒気を感じた。滅多に味わうことのない感覚だ。少々関係を絶つのに手間取った女性以来かな、これ。


「確認だが、今晩は何か予定は?」
「いえ、特には」
「ふむ。今週は?」
「…なかったかと、思います」
「ほう」
「曹操殿のお望みを叶えるのが私の願いでもある。さ、お気になさらず」
「その言葉、信じるぞ」
「…………はあ」


安請け合いはするものじゃない、例えそれが敬愛する、誰よりも力になりたい存在でも。内容を把握してから返答するなんてごく当たり前のことなのに、私は。


「なまえがな、おぬしに会いたいと煩いのよ。最初は何の問題もなかったのだが、最近は郭嘉、郭嘉とそればかり」
「…へえ」
「そこで、また一週間ばかり預かってはくれぬか。もうなまえはその気でな」
「え?」
「難しいか、やはり」


私は言ったじゃないか、曹操殿のお望みを叶えるのが私の願いだと。それは偽りでも繕いでもない本音だ。何より困っている。そんなの、無視出来るわけ。


「――…承知しました、郭奉孝にお任せを」


もうさ、陳羣殿が呪いでも掛けてるよね、絶対。



fin!

20130718

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