「嫌なの?」
俺が尋ねるとこっくり頷くなまえ殿。相変わらず郭嘉殿と何かあったらしい。何もない日が珍しいんじゃないかな、二人って。まあでも、今回は怒ってるっていうのとは少し違う感じだ。
「…えっと、お父さんは明後日帰ってくるんだっけ」
「うん!」
「だからスポンジだけ焼いちゃう、と。何が嫌?」
「納得しておいてあげるっていうの」
「ふうん」
ぷくりと頬を膨らませたなまえ殿の言葉は郭嘉殿に言われたもの、なんだろうな。俺には何がどうなっての「納得しておいてあげる」なのかがわからないから、どうしようもないんだけどね。
「私、嘘ついてないもん」
「そう言われたの?」
「言われてないけど言ってる」
「納得しておいてあげる、だから?」
「…うん」
甘い香りが部屋に立ち込める。そういえば今日はやけに早いけど、もう夜ご飯は食べたのかな。部屋にはメモを残してあったりとか。
「なまえ殿、郭嘉殿には連絡してあるの?」
「えっ?」
「だってさ、帰ってきて何時もいる子がいなかったらびっくりしない?」
「……!してないっ!!」
急に慌てだすなまえ殿。そんなに焦らなくても、まだ仕事が終わるような時間じゃないと思うけどなあ。
20130708