02

曹操殿の御息女を邪険に扱うわけにはいかない。隠し子と思われるのも嫌だし、それなりに寒いしね。

どうぞ、と声を掛けて部屋に通してあげると物珍しそうに辺りを見回す曹なまえ殿。確かに比較してしまったら狭いに違いないけれど、一人暮らしには広すぎる部屋だ。観察したくなるような妙なものもないはずだし。


「何もないね」
「ない?」
「必要なものしかない。…寂しくないの?郭嘉」
「…そんな風に思ったことはないかな」


不要なものを置いて空間を狭めてしまうより、必要最低限のものだけを揃える方が効率的じゃないか。この子の部屋には例えば可愛らしい人形だとか、抱きしめて一緒に眠るような。そんなものが沢山飾ってあるのかな。


「一人で眠れない、とか言わないよね?」
「…郭嘉は眠れるの?」
「子供じゃないんだから」
「………」
「一緒に寝たり、人形買ったりはしないよ」
「…義姉様は一緒に寝てくれるのに」
「義姉様?…もしかして、曹丕殿の美しい奥様かな?」
「うん、甄義姉様は綺麗よ?郭嘉が言っているのは甄義姉様のこと?」
「その甄義姉様がお願いしてきたのなら、喜んで共寝をするけれど」
「……郭嘉ひどい」
「はいはい」


そういえば何の荷物も持っていない。着の身着の儘ここに来た、はずはないよね。だって置き去りにされたわけではないのだし。


「着替えはないの?お嬢さん」
「なまえ!」
「じゃあ、聞き直そう。着替えはないのかな?なまえ殿」
「……あ!司馬懿が下で待ってる!」
「…つまり取りに行けと」


ああもう、司馬懿殿が来ればいいじゃない。



20121116

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -