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「あ」
「あ、司馬昭!嘘つき!」
「嘘吐きぃ?俺が何時お前に嘘吐いたよ、なあ賈充」
「俺が知るか。…誰だ、この娘は」
「ああ、社長の娘さん」
「…何?」


賈充の目が細くなる、と、なまえも驚いたのか少し肩を跳ねさせる。まあ怖いよな、賈充は分類するとなまえの苦手な系統だろうし。兄上のこともちょっと苦手だもんな。兄上自身、好んでなまえと付き合おうとはしないし。ほら、やめとけって賈充。なまえが泣くぞ。


「ん?そういやなまえ、何でこんなとこにいるんだ?学校とっくに終わったろ」
「許チョと典韋に会いに行くの」
「何でまた?」
「……待ち合わせ」
「誰と。あ、こいつ賈充な」
「郭嘉。……賈充…」
「あー、父上が言ってたお泊りか」


どうするなまえ、隠れ場所はないぞ。怖くないの一言で取っ払える雰囲気じゃないからな、賈充のやつ。血色の悪さはどう足掻いても変わらないんだよ、昔からだから。


「賈充…」
「ええ」
「悪いやつじゃないからな。まあ悪人面だけど」
「……!」
「子上。…失礼を、なまえ殿。俺は賈公閭、司馬子上と古くから親交のある者にございます」
「…お友達?」
「端的に言えば」
「……」
「おう、友達友達」
「……」
「虚言ではございません。時になまえ殿、先程の嘘吐きとは?」
「…司馬昭嘘つきなの。嘘つかれた」
「……ほう」


いやいや、俺には覚えないって。それにしても懐くの早過ぎないか、なまえは絶対賈充と口利かないと思ってたのにな。…下手に出られるの好きなのか、もしかして。


「何の話だよ、さっきから」
「司馬昭、可愛いお嫁さんになるには家事が出来なきゃって言った。だから元姫は完璧って」
「…何だそれは」
「言ったけどさ!いや、お前だってそう思うだろ?出来ないよりは出来る方がさ、」
「俺は出来ないとしても補う覚悟はあるが」
「聞く相手間違えたわ」
「司馬昭が言ったからやろうとしたの!でも出来なかった!」
「いや、それ俺は悪くないだろ」
「違うの!郭嘉、他を当たれって言ったの!司馬昭の言ったことやろうとしたんだよ!でも嫌って!」
「え?あれ信じ――…いやいや、そりゃ災難だったななまえ」
「本当!謝って!!」
「はあ!?」


何だよその理論。理不尽過ぎるだろ要求が。大体ななまえ、人には好みがあるんだよ。俺でも犯罪だろうにそれより上の郭嘉殿じゃ世間様の囁きが大変なことになるぞ。


「謝る意味がだな、あれ?お前郭嘉殿のこと好きなのか?」
「うん!…ううん!」
「いやあ、何かおかしいと思ってたんだよな。息子夫婦と母親いんのになーんで郭嘉殿なのかと。成る程なあ、お前の我が儘か!」
「違うもん!賈充、司馬昭馬鹿!」
「もっと言ってやってください。少しは脳に響いて矯正されましょう」
「賈充お前なあ!」


何てやつだ!郭嘉殿に同情するね、俺は!



20130629

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