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風呂から上がるとなまえ殿が眠りこけていた。まあこうなるだろうと思っていたから、何てことはないけれど。「洗い物する!」と張り切っていた名残か、掴みこそしていないものの手はしっかり皿へと伸びている。それにしても今日の私は特別頑張った。暫く甘いものは遠慮したいな、うん。


「なまえ殿、寝る?」
「んー…」

気のない返事だよ。
取り敢えずは食器を片付けてしまわないと。ああ、なまえ殿と過ごしからだな、所謂生活臭を感じるようになったのは。食器を洗うなんて一人の時は殆どしていなかったというのに。

「あらいもの…」
「何?やるの?」
「……ん」
「無理でしょ。大人しく寝なさい」
「…できる」


皿洗いへの執念なのかな、これは。手元の皿を離すまいとするなまえ殿は一体何の執着を持っているのか。私には理解が出来ない。


「なまえ殿」
「……」
「おーい。…ほら、無理じゃない」


恐らく力一杯握っていたであろう皿はあっさりと引き抜くことが出来た。あとは本人をどうするか、かな。別にソファーに寝かせておいても問題は、ないにはない。


「……仕方がない、か」


なまえ殿の寝室はここではないし。まあその部屋だって、私の寝室だけどね。



20130628

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