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「おいしいっ!?」
「普通」
「……」
「別に甘いものが好きというわけではないもの。ほら、馬岱殿に感想を聞きに行けば?」
「…郭嘉に聞きたいの」
「言ったよ」
「感想じゃない」
「気に入らないから?」
「短いから」


なまえ殿の返答に溜息を吐くと何かのお手本のように頬を膨らませてみせる。曹操殿に差し上げるに不足があるなら苦言を呈するけれど、特段問題点は見受けられないもの。秀でてもいないけど。だから本当に、普通。普通で結構じゃない。


「なら、可もなく不可もなく」
「………、言ってること一緒!」
「興味がないんだって」
「むー!」
「むーじゃないよ」


置いとかれて食べるかと言われたら食べないだろうけど、こうして見詰められたままというのは具合が悪い。非常に。この退路を絶たれる感じ、落ち着かないよね、まったくさ。


「もう一口!」
「なまえ殿も食べたら?」
「郭嘉が食べたら食べる」
「…充分に食べたのだけど」
「………」
「また見る」


そうして訴えれば私が折れるのだとなまえ殿は学んでしまった。しかも意外と頑固で厄介なものだから、どこかで折り合いをつけなくては何処までも貫き通すという面倒な性質。だから子供って嫌なんだよ。それに負けているような私自身も、呆れたものだけれど。


「………」
「なまえ殿」
「………」
「……不味くはない」
「郭嘉って照れ屋さんなの?」
「…どういう解釈したらそうなるのかな」


折り合いはつけられるけれど、仲良くはなれないよね。今更だけどさ。



20130623

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