37

「じゃあつまり、練習」
「はい。父様には飛び切りのものを贈りたいらしくて」


電子レンジの前から動かないなまえ殿はスポンジが膨らんでいく度に「すごい!」と感嘆して、俺と郭嘉殿の名前を繰り返す。郭嘉殿は煩いの一言で片付けてるけど、なまえ殿はケーキへの興奮が上回って突っ込むことを忘れてるみたいだ。


「…郭嘉殿、付かぬ事をお伺いしますが」
「はい?」
「なまえ殿に曹なまえって自己紹介されたんですけど、曹は…」
「曹魏の曹ですね」
「……郭嘉殿は」
「社員です」
「はあ〜…」


何でもないことのように言うけどさ、曹魏っていったら大企業だよ。入社試験がものすっごく難しくて、鬼軍曹みたいな試験監督がいるって噂、あれは本当なんだろうか。


「社長令嬢ってことかあ」
「社長令嬢?」
「曹魏社長のお嬢さんなんですよね?」
「ええ確かに。…ふっ」
「何で笑うんですか!?」
「だってなまえ殿が社長令嬢なんて。事実であれ、改めて考えると何だかおかしですよ。ねえ?」
「いや、同意を求められても…」
「あははははっ!」
「ええー…」
「郭嘉、馬岱!すごいよ!膨らんでる!」
「社長令嬢っ!」


よくわかんないよ、この人。



20130621

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -