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対照的な二人だと思う。女の子はにこにこ、男の人は仏頂面。女の子の手にはビニール袋があって、買い物帰りだろうことは容易に想像が出来た。部屋を間違えた、わけがない。だって女の子は「馬岱!」ってちゃんと俺の名前を呼んだんだから。


「…久し振りだね、なまえ殿」
「馬岱、ケーキ作る?」
「え?どういう意味?」
「ケーキを作るための道具はありますか、と。そういう意味です」
「ああ。うん、あるよ」
「…あるんだ」
「ほら!郭嘉が変なの!」
「同棲してるのかもしれないじゃない」
「郭嘉っ…!」
「してたらあなたなんか預からないよ」
「ふふーっ!」
「何その顔」


郭嘉殿はどうして男が作るって考えないんだろう。ほら、菓子職人だって男の人が多いじゃない。趣味にしてる人間がいてもおかしくはないと思うんだけど、そりゃさ、若にも女々しいって苦々しく言われちゃったけどね。仲間かと思った趙雲殿も意外とそういうことはしないらしいし、珍しいのかな、世間的には。

まあいいや、今大事なのは郭嘉殿の考え方でも俺の主張でもない。何でなまえ殿と郭嘉殿が俺の家に来たのか、しかも「ケーキ作る?」なんて質問をしたのか、これが今一番気にすべきことだ。


「あのね馬岱、父様が帰ってくるの!」
「へえ、それはよかったね」
「だからね、父様にケーキあげるんだ!」
「……俺に教えてほしいって、そういうこと?」
「うんっ!郭嘉も一緒!」
「郭嘉殿も?」
「言い出したら聞かないもので。あの時といい、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「はあ…」


乗り気なのってなまえ殿だけ、だよね?



20130620

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