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ああでもないこうでもないと騒いだなまえ殿は、結局ケーキを贈ることにしたらしい。しかも市販のものではなく手作り。料理をしないとはいえ、煮炊きや炒めるための道具はある。けれど、菓子を作るための道具なんて私が持っているわけないじゃない。


「何でないの!」
「必要ないから」
「家もたまに母さんが作るけどさ、父さんと俺は触んないぜ?何処にあるかわかんないんだよな」
「仲権!妙才叔父様いつ帰ってくる!?」
「え?…今週末って書いてるけど」
「…大雑把だね」
「郭嘉は父様から連絡もらってないの?」
「……何か癇に障るな。曹丕殿を通じて伝えられるんじゃない?明日辺りさ」
「あ、俺も明日には戻りますんで」
「お別れ会!郭嘉料理!」
「今日は一段と煩いよ、なまえ殿」


やれケーキだやれ料理だ、合計しても腕は六本しかないし、そもそもなまえ殿は頭数に入れるべきではないだろう。そうなると二人。私は料理なんて殆どしたことがない上、夏侯覇殿だって簡単なものしか出来ないのだけれど。


「どうしようか、夏侯覇殿」
「そうですね…取り敢えず飯を、」
「仲権の会なんだから仲権は休んでるの!私と郭嘉でやる!」
「はあ?何であなたと…足引っ張るでしょ、絶対」
「本見たら出来る!」
「そんなもの見た?」
「…ないの?」
「ないよ」
「何で!」
「不要だから」
「郭嘉使えない!!」
「なまえ殿よりは使えるよ」


まずは鶏肉でも焼けばいいかな。なまえ殿の声は音楽とでも、いや、騒音と思って流しておこう。



20130617

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