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「私可愛い?」
「は?」


暇そうにしているかと思えば私を見付けた途端に顔を輝かせて近寄ってきたなまえ。急に何だと思えばこれだ。何だこいつは、自己愛の塊か。


「練師先生は可愛いって!」
「誰だ」
「学校の先生!」
「その練師とかいう人間が可愛いと言ったら全員が倣う決まりでもあるのか?」
「いいの!可愛い?」
「……何の感想も浮かんでこない」


郭嘉殿はまだか。さっさとこいつを連れて帰ってもらいたい。結局同じ敷地内である以上顔は合わせるが、こんなくだらない問答はないだろう。


「何それ!」
「お前がどんな服を着ていようがそれを褒められようが、私には関係ない」
「ある!」
「何なんだお前は!」
「あ!郭嘉!」
「つくづくお前はっ…!」

社長の娘でなかったらこんな奴、いや、社長の娘だからこそこうも自由なのか。それ咎める人間がいなかった結果、こうして他者を苛立たせる性格に仕上がったのだろうな。教育の程度が知れる。やはり英才教育を受けた私とでは明確な差が出来てしまうんだな。


「帰る!」
「鍾会殿と帰ってればよかったのに」
「郭嘉の役目!」
「そうでしたねー。鍾会殿、今週末は暇かな?」
「…特に予定はありませんが」
「それはいい。是非、なまえ殿に付き合ってもらえないかな?」
「は?」


この笑顔、碌なことは起きない気がするんだが。



20130515

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