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起き抜け一番、開口一番に馬鹿ときた。といっても言われたのは俺じゃなくて郭嘉殿なんだけど。

例えばこれが涙を浮かべた女性とか、拗ねたような女性なら少しわくわく、じゃないな。ドラマっぽいというか。残念って言葉は何か違う気がするけど、まあなまえじゃ「あ、また我が儘か」くらいのもんだ。


「おはよう。なまえ殿、今日は学校ではなかったかな?」
「そう!」
「なら早く着替えて。あと5分で身なりを整えないと置いていくよ」
「…!郭嘉馬鹿!」
「はいはい」


最早お決まり、なまえに対する郭嘉殿の返事は七割が「はいはい」だよな。なまえもでかい音立てて引っ込むし、下の人に迷惑じゃないか心配になる。


「…郭嘉殿」
「何か足りないものでもあった?」
「それは問題なく――…じゃなくて、なまえの機嫌が悪いのって…」
「寝たのはなまえ殿なのにね」
「まあ、そうですね」

なまえの不機嫌の原因は単純明快、ココアだ。風呂から上がったら淹れてやるって約束だったのに郭嘉殿が破った、なまえの中ではそういうことになっているらしい。

「髪を乾かしている途中で本格的に意識を手放したのは向こう。私が責められる謂れはないのだけれど」
「それもまあ。けど、子供…なまえはそんなもんですよ」
「ああもう、本当に面倒だね」
「郭嘉殿も何か作るんですか?」
「ココア。作らないとずっと煩いんだ、あの子」
「あはは…今回ばかりは同情します」


着替えを終えたなまえの機嫌の回復ったら。そうやってすぐに二転三転するのは単純で、素直で可愛いもんだと思うけどな。



20130221

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