23

何ともまあご機嫌。私が迎えに行ったことがそんなに嬉しかったのかな、なまえ殿は。


「楽しかった?」
「うんっ!」
「夏侯覇殿が上がったら次入りなさいね」
「郭嘉、」
「はいはい。今日は私が乾かす日だっけ」
「うん!」

周りに花でも飛んでいそうな――…髪を乾かすのが私だと聞いて(夏侯覇殿がいる間は交代制を採用している)ますます緩んだ表情に、ありもしない花の匂いまで感じた気がした。

「何食べたの?」
「パスタ!」
「…まさか本当に…」
「本当に?」
「いいや。こっちは鍋だったよ」
「あとね、ココアも淹れてくれた!」
「そう。それはよかったね」


ゆらゆらと小さな身体を揺らしているなまえ殿。何かを思い出すなあと思えば、あれだ。ダンシングフラワー。それかキャラクターが首を揺らしているやつ。言ったらまた膨れっ面になるだろうから黙っていよう。


「でもね」
「ん?」


話は尽きることを知らない。なまえ殿はよく喋る。騒がしい声が聞こえたのか、風呂上がりの夏侯覇殿が「帰ってたのか」と朗らかな笑顔と共になまえ殿の髪をくしゃくしゃにした。抗議しないところからして、やはり相当に機嫌がいいようだ。


「郭嘉が淹れたココアの方が好き!」
「は?何かあったんですか、郭嘉殿」
「いや。馬岱殿がココアを淹れてくれたって話」
「はあ」
「ほら、入って来なさい」
「はーい」

また元気に返事をするとなまえ殿はいつも以上に素直に従う。そんななまえ殿を見る夏侯覇殿は不思議そうに瞬いていて、普通にしていても童顔な彼がますます幼くなってしまった。

「郭嘉!」
「何?」
「ココア飲みたい!」
「…上がったら淹れてあげるよ」


その顔が今度は、私を。



20121117

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