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「馬岱って誰だっけ」
「わからないのに許可したんですか?」
「夏侯覇殿が大丈夫だと思ったのなら問題ないかな、と」
「……彫りの深い人です」
「………。あ、何か無性に濃い味の料理が食べたくなる」
「イタリア料理とか?」
「うん」


確かに濃い顔だと思ったけどさ、微妙に失礼じゃないか、郭嘉殿の発言。まあ郭嘉殿はそれを本人に言ったりはしないから――…なまえは、どうだろうな。急に不安になってきた。


「…なまえ殿が心配?」
「馬岱殿に失礼なこと言ってないかと」
「ああ。なまえ殿なら有り得るね」


相変わらず淡々としている。何と言うか、「どうでもいいよね」なんて声が聞こえてきそうだ。俺にとってなまえは妹のような存在だからか、郭嘉殿の態度をいま一つ理解出来ずにいる。郭嘉殿は曹操様を心から尊敬しているんだし、娘のなまえも自ずと大切に出来るもん、じゃないのか。


「郭嘉殿は不思議です」
「そうかな」
「なまえの扱い、曹操様が知ったら大目玉じゃないですか?…言いそうだし」
「夏侯惇殿曰く、曹操殿は私に甘いらしいから」
「娘にはそれ以上なんじゃ…」
「私がこうだって知っているもの」
「なのに頼んだって。…それこそ本当に、家に言ってくれたらよかったのに」
「私の生活改善計画かもしれない」
「生活改善?」
「陳羣殿がね」
「ああ…」


叔父さんも気に入らないって言ってたっけ。酒が好きだわ女が好きだわ、「だらしがなくて仕方がない」って恐ろしい形相をしていた記憶がある。叔父さんでさえそうだから陳羣殿は堪らないだろう。基本的に流すしなあ、この人は。


「ご馳走様。…さて」
「あれ?出掛けるんですか?」
「馬岱殿のところにね」
「…泊まれって言ってませんでしたっけ?」
「知らない子だよ?頼んできたのも友人とは呼べない相手、流石に迷惑だ」
「……はあ」


一応考えてたんだ、それ。



20121117

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