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郭嘉殿ってどんな人。
この子には聞ちゃいけないことだったのか、頬を膨らませた上に眉まで寄せてしまった。郭嘉殿。挨拶しかしていない俺の印象だと、夜の仕事をしてそうな感じだ。お酒を飲んで女の子を楽しませる系の。会社員らしいけど。


「郭嘉意地悪なの。父様と鍾会と夏侯覇には優しいくせに、私には冷たい!」
「冷たいのか、郭嘉殿」

夏侯覇はさっきの子、父様は言葉通りこの子のお父さん。鍾会って誰だろう。まあ別に、知らなくても支障はなさそうだけど。

「いっつも馬鹿にするし、夏侯覇の家に私を押し付けようともしたんだよ!ご飯も作らないの!酷いでしょ!?」
「…それはまた」


まだ小学生だよね、この子。子供だからどうとか、大目に見るというか何というか、容赦ないのかな。子供が嫌いとか。それなのに預かるなんて、この子のお父さんには逆らえない――…いや、「父様には優しい」とすると、郭嘉殿にとってこの子のお父さんは大切なんだろう。

俺だって若に頼まれたら多少の我慢はする。相手に対する好意感情って、結構厄介だったりするよねえ。


「でもさ、そんなに不満があるなら夏侯覇殿のお世話になった方がいいんじゃないの?」
「うっ…」
「そしたら君も苛々しないしさ、美味しいご飯も食べられるんと思うけどな」
「かっ、郭嘉のココア美味しいもん!」
「あ、ココアは淹れてくれるんだ」
「優しいでしょ!」
「うーん…?」


少し前までは郭嘉殿に対する文句ばかりを口にしていたのに、今はいいところを挙げようと必死になってる。不満はあれ嫌いじゃない、そういうことなのかな。


「成る程。君は結局、郭嘉殿のこと大好きなんだね」
「うんす――…違う!だいっ嫌い!」
「そっか」


聞いている限り、よくしてもらったことなさそうなんだけどなあ。



20121117

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