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「あ、美味しい」
「本当ですか?味付けとか適当なんで、少し心配してたんですよ!」
「何度か食べさせてもらったことがあるけど、夏侯淵殿の味に似ているね」


親子だなあ。何の気無しに、素直に思うがまま呟くと夏侯覇殿は瞳を輝かせて私を見る。そんなに嬉しかったのかな、親子って言葉(それとも味だろうか)。


「仲権、美味しい!」
「おお〜そりゃよかった!気に入ったか?なまえ」
「うん!また作って!」
「そうだな、世話になってる間は作るか。…いいですか?郭嘉殿」
「好きにしてくれて構わないよ」
「んじゃ、是非」
「違うよ、仲権が郭嘉のお世話してるんだよ」
「いやいやいやなまえ、」
「夏侯覇殿、ついでになまえ殿を連れていかない?お母様もいらっしゃるでしょう?」
「ああまあ、曹操様には俺から言っとけば問題ないとは思いますけど――…」
「や!」


力強い声とともに叩かれた机、その震動で茶が零れた。まあいいや、後でなまえ殿に拭かせよう。眉を寄せて私を強く睨むなまえ殿は、精一杯恐ろしい顔をしているつもりなのだと思う。まったく恐怖は覚えないけどね。見慣れたそれと大差ない。


「郭嘉には責任があるんだよ!」
「はあ?」
「頼まれたのは仲権じゃなくて郭嘉でしょ!だから父様が戻るまで郭嘉が私を見てなきゃ駄目なの!!」
「夏侯覇殿の家に行けば毎日手作りだよ?」
「おっ、お弁当好きだもん!」
「夏侯覇殿とも遊べるよ?」
「鍾会がいる!」
「私も遊べるし」
「それ私に関係ない!!」
「台拭きなさい」
「仲権、ティッシュ!」
「ほいほい」


そんなに仲良くないでしょ、鍾会殿と。



20121117

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