09

「パフェ食べたい」
「パフェ?高い、無理。スーパーで安いアイスでも買えばいいよ」
「……父様なら」
「父様と私は違う人間」
「郭嘉殿」
「ん?ああ、決まった?」


なまえに向けられていた歪みきった表情はどこへやら、私を見る郭嘉殿は平時と寸分違わぬ姿だ。女が好きだともっぱらの噂(司馬昭殿が面白がって話すのが主だが)だが、女に分類されるなまえへの冷たさといったら。

いやそれよりも、社長クラスがファミレスなんて場所で食事を摂るようには思えんのだが。


「コーヒーだけでいいんですか?」
「食欲もなくなったしね」
「車に乗せていただいた上、お支払いまで。…すみません」
「直接の関わりはなくても後輩だし。なまえ殿、お子様ランチにでもしなよ。お似合い」
「お似合いじゃない!」
「うーるさいよー」


郭嘉殿を睨もうと顔を上げたなまえの頭を押さえ、強制的にメニューへと戻す。見た目にはまるで父親を想像出来ない人だが、こうしたやり取りを目の当たりにするとそう悪くはないのでは、と思った(私の立場はなんだ)。


「……私もコーヒーで」
「あれ?いいの?好きなものを頼んだらいいのに」
「特に空腹も感じていませんから」
「郭嘉!リブステーキ!」
「千円超える。なまえ殿を満たすのに千円は高い、ハンバーグね」
「鍾会には好きなものって言った!」
「鍾会殿にはね」


まあ、女というよりはただの子供だが。



20121116

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