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恋愛的反則



名前の通り折原臨也は高いところが好きだ、と私は気付いた。
例えばそう、それがブロック一段分でも、だ。
街中に繰り出せば縁石、花壇、冊、と言ったように必ず何かの上に乗って、軽快に歩いている。パルクールを取得しているから、と言うだけじゃない。確実にアイツは高い所が好きだ。そもそも住んでいるマンションからしてそうだし、現に今隣を歩く、と言うか勝手に引っ付いて来ているコイツは、行く先に段差が無いと見るや否や少し先まで行って縁石、若しくは車両侵入禁止の冊の上に乗ってニヤニヤと底意地の悪い笑みを浮かべて私がそこまで来るのを待っている。


「まぁ、何とかと煙りは高い所が好きって言うしね…」
「ん?何の事?」
「何でもない」



恋愛的反則



少し高い花壇の縁に立つ臨也の前で、一つ、小さく溜め息。そして再び一旦止めた足を歩みに戻し掛ければ、ほぼ隣と言っても良い斜め左前に臨也がストンと地に足を着けた。


「でもまぁ、侑子となら同じ地べたを歩くのも悪くないよね」


いつもと同じ様な人の食えない笑いを浮かべた瞳の奥に、一瞬だけ賭け値無しの優しさを含むものを私は見逃さなかった。


(っとにコイツと居ると調子狂うなぁ……)
(アレ侑子?もしかして惚れ直した?)
(……、自惚れんなバカ)


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2010,06,01