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ふたりはいつも 日常



あーあーあー突然バサリと何かが降ってきた。何かとは言ったものの全く見当が付かないわけじゃない。だって私の頭頂部を直撃しても痛みすら感じないのだから、硬くて重量のある物なわけがない。あーあーあーこれだから言葉は曖昧で嫌いなの。行動で示しなさいよ。だから推するに、布か何か。と言うか布だ。なんのよ一体。いきなり人様の視界を妨げて。ふざけるな。私は気が短いのよ。えぇまったく。


「すみませーん」


トコトコと後方から駆けて来る一人の死神。
あぁ、こいつが…
そいつは明らかに平隊士で、無能そう。そんな奴が私の頭頂部に布を落として視界を妨げるなんて良い度胸じゃないか。解体してやろうか。
ブツブツとそんな事を考えているとそいつは目の前までやってきた。


「す、すみません、いきなり風が吹いたもので洗濯物が飛ばされてしまいました」


息をきらせて走ってきたその隊士は一息に詫びの言葉を述べ、深々と頭を下げた。
洗濯物…そう言えばここは十一番隊の隊舎横の道。なるほど、あの戦闘バカの。それならこのいかにも無能そうな隊士にも合点がゆく。あーなるほどそうかふーん。


「あ、あの…」


あれから一言も口を開かない私が気になったのか、怖々と顔を上げる。


「あぁ、気にしなくていいよ」


と心にも思っていない事を言う。
局長みたく、こいつ人間爆弾にこっそり改造してもいいかな?
なんて我ながら物騒な事を考えているとゴツンと後頭部に鈍い衝撃を感じた。


「オイあんまり面倒事起こすなよ」


後頭部をさすりながら振り返ると案の定そこには阿近がいた。


「なに?面倒事なんて起こしてないけど?」


ねぇ、と側にいた平隊士に同意を求める。


「良く言うぜ。物騒な事考えてたくせに」


顔ニヤけてたぞ、とこれまたニヒルな笑顔を向けられた。
あぁその顔凄くそそる。


「オイ、お前十一番隊だろ?」


阿近は不意に側にいたそいつに声をかけたもんだから、そいつはビクリとなりながらも、はい、今年の春入隊いたしましたと答える。
なるほど新入隊員か。


「ならあんましウチの隊に関わらない方がいい。特にコイツや局長何かには、な」


何されっか分かんねぇぞと阿近は少し困り顔で言う。
その顔が冗談を言っているようには見えなかったので 、その新入隊員は、は、はい!なんて吃りながら答え、失礼しますとパタパタと自隊に戻って行った。


「あーあー折角新人との交流を深めようとしてたのに、阿近が恐い顔するから逃げちゃったじゃない」

「何が『新人との交流を深めようとしてた』だ。粗方局長みたく人間爆弾にしてやろうかとでも思ってたんだろ」


流石阿近。なんでもお見通しだ。
関心関心。


「オラまたニヤけてっぞ!」


ゴツンと本日二回目の後頭部への衝撃。
正直結構痛い。
頭の形が歪んだらどうするのよ、とぼやいたら、中身の方はとっくに歪んでるんだ丁度良いんじゃねぇのと言って来た。
否定はしないけどね。
そのまま技局に戻る道を一緒に歩いていると


「更木隊長が怒鳴り込んで来ると局長の機嫌が頗る(すこぶる)悪くなるのは知ってるだろ」


あら一応釘はさすんだ。
脱線してすっかりそのまま忘れてたいた話に戻され、少し驚いた。


「あーこーん」

「んだよ」

「楽しいね」


イヒヒと笑いながら阿近の隣りで空を見上げる。
阿近はそうだな、と同じくチラリと空を見上げる。


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2009,05,09