『“完璧”とは“絶望”だヨ』 そうあの仰々しい顔をした死神は言っていた。私は彼やあの死神と違って科学者では無い。それでもあの死神の言っていた事は正しいと思う。 『“完璧”に何の意味がある?』 彼が求めるモノも 彼が行なう研究も 彼が発する言葉も みんな嫌い。 彼が追い求める“完璧”なんて大嫌い。 『何も無い』 “完璧”は何も寄せ付けない、必要としない。 そう… 『何も、何一つだ』 ただ“完璧”と言うだけでそのもの以外はイラナイ。 『“完璧”であればそれ以上は無い』 だから私は“完璧”が大嫌い。何も必要としない。 正に 『知恵も才能も立ち入る隙が無い』 だから 『「私は“完璧”を嫌悪する」』 それでも彼“自身”を嫌いになれないのは、彼が完璧じゃないから。 “欠落美” そんな言葉が最も似合うから。そんな事を彼に言ったらきっとバラバラにされて羊水が溜まった水槽にぶち込まれるだろう。それでも私は彼“自身”のことが嫌いじゃない。嫌いになれない。 『百年後まで』 彼の発する言葉も求める理想も研究も大嫌い。“完璧”なんてクソ喰え。 だって“完璧”を謳い求めた彼は今、砂漠の真ん中で独り佇んでいるのですから。 『御機嫌よう』 今でもそう彼に告げたあのバフォメットの様な死神のニンマリ顔が脳裏に浮かぶ。 あぁだから“完璧”は嫌いなの。そうやっていつも大切なものを奪ってゆく。本当、“完璧”なんて大嫌い。死んでしまえばいい。 でもしょうがないから百年先まで待っててあげる。 だって私は“完璧”じゃないから。 ---------- 2009,04,20 |