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紅い絆の道標



どこに居るのですか?
私はここに居ます。


あの日あの場所で別れてからずっと探してます。

「さいなら」

と囁いた彼は何故だかとても辛そうで、そんな顔するなら別れなんて告げて欲しくなかった。
それでも

「また、な…?」

なんて恐る恐るワタシの顔を覗き込みながら言うもんだから一言

「ありがとう」

と言って、優しく彼を抱き締め

「必ず、また…」

と囁き返す。

そう、そこは終わりの地ではなく始まりの場所。
そしてそこから一歩でも歩み出したらあとは真直ぐ進むだけ。


あぁなのにどうして私の邪魔をするのです。
ただ彼の元に行きたいだけなのに…
抜き去った刃を戻す暇も無い。
飛び散り掠れた紅の先は二人を繋いでる。
だから鞘は捨ててしまった。
紅い途が途切れる事の無いように。

赤い絲だなんて可愛らしいモノじゃない。
そんなものはすぐに断ち切れてしまうから。

立ち上ぼる血煙と噎せ返る様な馨り。
目の前は常にピンク色に霞み掛かって生臭い霧が全身を濡らす。

歪に曲がった切っ先は真直ぐに途を作っていますか?
転がった髪を無造作に掴んで、ほらアナタ達も途の一部になるの。
ズルリズルリと地面に擦られ紅い途を作るのです。

あぁほら見付けた。
やっぱりアナタも紅い途を従え血塗れの刃は収まる所を失っている。

別れた場所と再び出合った場所は対角線上。
紅で永遠のループを作り上げるの。

そして互いに刀を埋める合う。
やっと逢えた。やっと見付けた。
これでもう闘わなくて良い。

互いの心音と流れ落ちる紅い体液が長い長い旅の終わりを告げる。
もう誰にも邪魔されない。
もう誰も見付ける事は出来ない。

狂気に溺れた者だけが見える紅。
狂気を受け入れた者だけが作る途。


引き摺られた紅い途だけが互いの居場所を示すのです。


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2009,05,07