「ねー…」 「おー…」 「あぁー…」 「んー…」 「うー…?」 呻き声なんだか何だか分からない気のない返事が四つ返ってくる。 「な、ん、で、君たちがここにいるのかな?」 自分でもピクピクとこめかみが震えているのが分かる。 「何でって、入学式だから?」 「私、みんなと違う大学受けたよね?なのにどうして四人ともここにいるのかなッ!?」 確かに私達は銀魂高校を卒業したはずだ。それに伴い皆別々の進路を決めた。決めたはずだったよね? 「大体銀時、アンタがなんでこの大学受かってんのよ!賄賂か?カンニングか?」 「ちょ、酷いよ槙乃ちゃん!彼氏に向かってなんて事言うの!俺、国語は得意だったじゃん」 「確かに国語だけはいつも満点だったな」 うんうんと桂が顎に手を当て頷く。 「で、も、国語だけでしょ?」 「あぁそれだが、確かに他の科目は余り成績は良くなかった。特に英語は壊滅的だったな。だから外国語が試験科目にないこの大学の国文科を受けたんだとよ」 なァと高杉がクスリと笑いながら銀時を見遣る。 「おま、余計なこと言うなって」 「ま、ほんに国語以外の試験はギリギリじゃったがの」 「で、他の三人は?」 取り敢えず腹が立つので銀時の耳を抓りながら残りの三人に問う。イデデと涙目になりながらの抗議は華麗にスルー。 「俺ァ松陽先生が此処で史学教えてるからよォ」 「俺は法学部で指定校推薦を貰っていたからな」 「わしゃァうっかり本命校の試験日を間違えてしもうての」 アッハッハと辰馬は豪華に笑いながらガシガシと頭をかく。ダメだ。コイツらとは一生縁が切れそうもない。軽く目眩を覚え目頭を押さえる。 「ま、そう言うこった。これからも宜しくな、槙乃」 ポンと頭に置かれた高杉の手を振り払う気にもなれない。代わりに深い深い溜め息を吐く。また賑やかでハチャメチャな学生生活が送れそうだ。 離れる事が想定外 「ははっ…で、今日この後の予定は?」 「んなもん決まってんだろ」 「「「「酒盛りパーティーだ!!」」」」 「ですよねー」 少し目を閉じふーと息を吐く。 「よっしゃァ!一丁いきますかッ!」 「流石槙乃、そうこなくては」 何はともあれ憧れのキャンパスライフは入学早々に打ち砕かれたのだった。 (取り敢えずお前、辰馬ん家着いたら飯作れ) (……は?何言ってんの高杉) (おーそれは良いアイディアじゃ。槙乃の作る飯は旨いけんのぉ) (大丈夫、俺も手伝うから心配するな) (あれ、私の意見は無視ですか) (あ、あと甘味も、な!) ---------- 2010,04,14 |