「んーまぁそう言う事もあったねー」 ボリボリと醤油煎餅を頬張り、椅子の上で胡坐ながら槙乃はアヅーとうなだれている。 「そんな事もあったね、じゃねぇよ!出会って早々、意味も無く思いっ切り頭突きされた銀さんの身にもなってくれる!?」 「アレ?そうだっけ?」 「えぇぇぇ!!何?ウソ?それ忘れてたの?」 「いやさぁ?あの時は兎に角晋助の事を殴り飛ばしたくて、正直晋助以外は皆へのへのもへじ的扱いだったから覚えてない」 「ちょ、何この子。今サラッと惚気たよ」 扇風機の前を陣取り動こうとしない晋助の頭を軽く叩き、まただらし無く椅子に体を沈めた。 「あ?何だよそんなに構って欲しいのか?」 クツクツといやらしく笑う晋助に、首振りにしろよとあしらう。 「にしても暑いねぇー…七月入る前には辰馬にエアコン付けて貰おうよ」 「だな。……あ、いやでもお前ら冷房で喉痛めたらヤバイんじゃねェの?」 「ハッ、その心配はいらねェよ」 ニタリと上がる口角に嫌な予感しかしない。 「毎回俺が散々"歌 わ せ て も"次の日だってちゃんといつも通りなんだから問題あるめェ」 前言撤回。嫌な予感では無く、くだらない予感でした。 熱帯夜にも負けない熱さ 「オイ晋助。鬼太郎じゃなくて座頭市にしてやろうか」 ボキボキと指を鳴らす槙乃に初対面時の痛い思い出が蘇り、ヒクリと頬が引き攣るのを晋助は感じた。 (取り敢えず一週間禁欲ね) (は?無理。大体お前だって――) (あーあーあー何も聞こえない何も聞いてない) (なんだよ顔真っ赤だぜ?) (つーかキミ達俺の事忘れてるよね…) ---------- 2010,07,02 座頭市ネタわかりにくっ!! つまりもう片方の目も潰してやろうかって事です←説明すんな まぁ喧嘩するほどなんとやらです |