×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


寄り添いて伴に咲くは金盞花



「毎度々々ご苦労なこと」


そう言えば「アァ?」と睨まれる。全く本当律義な人だこと。


「そろそろ抱いてみるかえ?」


茶化したつもりはないけれど、真面目なアンタは目付きの悪い顔を更に悪くして見下ろされた。


「抱く?そりゃ抱かれろの間違いだろ」
「ふふふ、主様になら抱かれてやっても良いさね」
「ハッ、んな手練手管は他の客に使うんだな」
「つれんお人」


いつもそう。絶対に抱く気は無いのに毎月必ず同じ日、同じ時刻にやってくる。これでも一応、アタシの事が心配なんだろう。


「大体テメェを抱くなんざァ、テメェでテメェを抱いてるようなもんだろ。胸糞悪ィ」


苦虫を噛み潰した様な顔でそんな事を言われれば、煽りたくなるのが人の性。
否、そんなのはアタシだけ、か。


「したらば自慰と思えば良いではないか」
「つくづく性悪な女だな」


喉の奥でクツクツと笑いながら言えば、呆れた顔でそう言い返されてしまった。


「ふふ、だって主様の実妹でありんすから」


獣に落ちたと言いんしても実の妹は抱けんとな。あな可笑や。所詮そんなものか。


「テメェと同じ場所に落ちる訳があるめェ」


おや、読心術か?それは少々頂けない。


「顔に出てんだよ」


ガツンと容赦無く頭を殴られる。こんな馬鹿みたいにくだらないやりとりが楽しくてたまらない。これが幸せと言うのだろうか。これを幸せと呼ぶのだろうか。否、他人から見ればそんなもの幸せと呼ぶには程遠く、むしろ不幸の域に入るだろう。それでもアタシは幸せなんだ。
落ちた先は違えど伴に寄り添える温かさ。それがアタシたち兄妹なのだから。



寄り添いて伴に咲くは金盞花



(暗い悲しみを背負って散る二輪の花弁)


----------
2009,09,26