「血生臭い」 任務から帰って直ぐの血でベトベトしたままの体で抱きつかれる。正直辞めて頂きたい。こちとら風呂も入ってふかふかのベッドで夢の世界にダイブする所なんだ。しかしこのピンク頭の男はそんなことはお構い無しにと、ぐりぐり顔を押し付けてくる。 「ちょ、阿伏兎ーどうにかしてよー」 腕を突っ張って引き剥がそうとするが無理だ。たまらず阿伏兎に助けを求めるが「あームリムリ」とあしらわれ、そしてスタスタと部屋を出て行ってしまう。 「さぁ一発ヤろうか」 「げ、何でそうなるかな」 「何でって俺がヤリたいから」 「私はヤリたくない!」 なんでこう唯我独尊なのだろうか。他人の意見なんて聞きゃぁしない。抵抗する力を強める、と言うより最早ちょっとした攻撃化した私の腕。神威はそれを矢張り易々と受け止める。 「あーもーどうしたの?任務先で何かあったでしょ」 大抵私が本気で嫌がれば諦めて添い寝するに落ち着くのだが、ここまで頑なになる時は任務で何かあったのだ。諦め半分で抵抗を辞め、逆に神威の手首を掴む。 「何って、別に…?」 「ほらごまかさない」 ぐいっと引き寄せ背中を抱く。こう言う所はまだまだ子供。フワリと鉄の臭いに混じって神威自身の匂いが鼻を掠める。 「地球に…」 「ん?」 「地球に面白い奴らを見付けたんだ」 血の付いた指先で頬を撫でられる。カサカサに乾いた血液は付着することはなかった。 「侍って言って強いんだ」 「それで、血が騒いで交渉相手を皆殺しにして来ちゃった、と」 「うん!」 うん、てそんなキラキラした瞳で言われても… 悪気は何も無いと言った爽やか過ぎる笑顔に、溜め息を吐く事しか出来ない。そう言えば、この前『鬼兵隊』とか言う地球のテロリスト集団と何やら交渉していたっけか。 さあさあ旅路は楽しく行こう! 暫く考え事をしているとあっという間に組み敷かれ、服も半分脱がされていた。 「で、地球に着いたらちゃんとこの埋め合わせはしてくれるんだよね?」 仕方が無いと完全に諦めて血みどろと言っても過言出はない神威を抱きしめる。 「ま、取り敢えず今は俺の食事タイムだからネ」 「はいはい、」 血の奥にある神威の匂いを鼻孔に納め、いよいよ抵抗を辞め、代わりに地球に着いてからどうコイツを振り回してやるかと言う事を考えた。 (取り敢えず、コイツの足腰が立た無くなるくらいいっぱい買い物してやる…!) (ん?何か言った?) (何でもないですっ!) ---------- 2010,06,11 |