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祭囃子にキミと浮かれる



揺れて揺らして突き突かれ。
ベタベタと汗ばむ素肌と素肌が触れ合い、熱が、急上昇。躊躇い無く覆いかぶさる首筋に雪乃は舌を這わせ噛み付くと、潮気の強い汗と共に雄の味が鼻孔と口内に広がる。


「、ン―――ァ…ッ」


競り上がる快楽の波が堪らず、ギュッと背中を掻き抱く。汗と体液が自然と肌と肌を吸い合わせる。


「…ん、やァ……ふ」
「雪乃ッ、」
「ァ…あ、あぁっ…しんす…け、」


低く耳元で名前を呼ばれ、思わず背に回した手の爪を深々と立ててしまう。晋助は一瞬顔をしかめるが、あまり自己主張を残さぬ恋人が無意識の内に刻む所有印に、存外気分が良くなる。そしてそのまま自分も雪乃の肌に紅い印を無数に咲かせてやる。


「ん――、んっ、は……あぁ、…ン…ッ」


短くて長い夜。夏のむしむしとしつこい暑さのせいか、普段より頭がぼーっとする。それでも、いや、それがかえって晋助の存在をより意識させた。


「っそろそろ、か…?」
「――う、ん…。あ、……やッ、も…」


強く性急に数回イイ所を貫かれ、雪乃は切れ切れの喘ぎを漏らす。そして最奥に太く硬く、熱い熱が打ち付けられた直後、再び雪乃は爪に力を込め弓なりに姿態を橈らせ、イッた。


「―――チッ…」


軽い舌打ちと共に数秒遅れて晋助の低くくぐもった呻きが雪乃の鼓膜を揺らせば、生暖かい液体が下腹部内を満たすのを感じるのだった。










虎ノ刻、まだまだ深い闇が支配する中ゆっくりと意識を取り戻す。ぼうっとほの暗い蝋燭の明かりに照らされ、薄く開けられた障子窓から流れ込む夜風を纏い、事後の姿のまま胡坐を掻き一服する晋助の後ろ姿が目に入る。

(ほんと、何やらせても絵になる男よね…)

夏の暑さと情事後で気怠い身体をむくりと起こせば、それに気付いた晋助が、まだ寝てろと優しく髪を撫でてくれた。それに甘え、雪乃は再びゴロンと布団に横たわる。


「背中、ごめん…」
「あァ…?」
「引っ掻き疵…。血、少し滲んでる」


申し訳なさそうにそっと背中を撫でる雪乃にフッと愛おしさを感じる。


「んなこたァ気にする必要あるめェ」
「でも……」
「良いんだよ。逆にお前ェはちったァは『コレは私の男なのよ』って主張したって罰は当たらねェよ」
「ッ莫迦…!」


クククと意地悪笑えば、雪乃は顔を赤く染めペチンと照れ隠しに背中叩く。その仕種すら可愛らしいことこの上ない。そう、何の迷いも無く思ってしまうあたり、自分は相当雪乃に惚れているのだろう。晋助はフッと頬を緩めると宵闇の熱気を払うかの様に再び志戯に覆い被さり、深く熱くしつこく口づけた。



祭囃子にキミと浮かれる



背中越しに両の腕に抱き締めた存在は、温かく心地の好いもので、すやすやと己に全てを委ねて眠る姿は、それだけで絶対に手放すまいと思うのだ。


(ったく可愛い寝顔しやがって…)
(本当にもう、……――――――愛してる)


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2010,07,03