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五月晴れ



生暖かいこの季節の陽気は嫌いじゃない。しっとりと軽く纏わり付く風は、思わず頬を緩めてしまう。


「ふっ…くァ〜〜……」


惜し気もなく口を開き大欠伸をし、コキコキと首を鳴らす。


「オイ、テメェ。こんな所で何やってる」


んーと伸びをして雲一つ無い青空をぼーっと見上げていると、急に視界が暗くなる。


「あれ、土方コノヤローじゃないですか。そちらこそ何してるんですか?あ、私は絶賛日向ぼっこ中です」
「てンめェ斬り殺すぞ。日向ぼっこって、ただのサボりじゃねぇか!」
「いやだなぁ、サボりじゃないです日向ぼっこですって。これだからマヨラーは」
「マヨラー関係ねェだろ!ったく総悟と言いお前と言い、何でこうサボり魔ばっかなんだ」


煙草のフィルターをクシャリと噛み、ガシガシとうなじを掻く。私はそれを見て、やっぱり空を見上げながら欠伸をする。


「あーあ、こんな日位休みにしたって良いのに」
「お前はいつも休みみたいなもんじゃねェか」
「あはは」


隣に腰掛けた土方がペシッと後頭部を叩いてくる。馬鹿になると抗議すれば、それ以上馬鹿にゃならねェよと言われた。どういう意味だコラ。


「まぁ、私が、と言うか副長が、なんだけど…」
「あぁ?」


眉間に皺を寄せ何故だと問う。あーあ、馬鹿なのはアンタの方だよ全く。銜えたままの煙草を抜き去り軽く唇を押し当てる。


「誕生日おめでとう、十四郎くん」


にっこり笑うその顔に、目眩を覚えた。あぁ、そういえばもうすぐ初夏だ。



五月晴れ



(あれー耳赤いよ?)
(ッルセェ……馬鹿…)
(明日は休暇、取っといて上げたから、二人分)
(…オゥ、悪ぃな)


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2010,05,05