加速する激動。止まることの無い刃。舞う赤と沈む赤。 それでも…私達は生きている。 仲間を失う度に荒む心。敵を斬る度に高揚する気持ち。生きている。まだ、生きている。 生き続けられてる。 祈りも願いも誓いすら叶わず、ただ奪われ焼かれ踏みにじられる、世。勝つと信じて闘った、勝てると信じて闘った消え逝く魂に、涙する暇も無く血を浴びた。 志を折られ去り行く友。 片の光を奪われ冷める友。 天に裏切られた私達は流星が如く空を追われる。一等星の如く一際白く輝いた友も、いつも真っ直ぐに信念貫いた友も。あの夜見た星達も… 落ちた。 あの夜五人で願いを掛けた流れ星達も、願いを叶えられなかった誰かなのだろうか。 冷たい風に髪が遊ぶ。見上げれば澄んだ夜空に星が瞬く。 「世の中は変わった、ね……」 誰にともなくひとりごちた言葉は、思いの外感傷的だった。都会のネオンから逃れたこの場所は、昔を懐かしむにはあまりにも似過ぎている。 「私は…誰かの願いを叶えた流れ星になれたのかな……」 今度こそ本当に… 滲む夜空が白く覆われたかと思えば、パサリと羽織りが体に落とされる。 「ったくんな薄着で寝っ転がってっと風邪引くぞ」 そこに居たのは白く輝く一等星。体を起こせば大きな掌で頭を肩の方に引き寄せられる。 「良いじゃねぇか天から落っことされたって」 私はそのままコテンと銀時の肩に頭を預ける。 「地上の方が気楽に生きれるし、俺達だって居るだろ」 優しい声色が滲んでいた視界をクリアにする。 温かい。 「それでも不安なら俺がしっかり受け止めてやっから、安心して落ちて来いよ」 銀時はわしゃわしゃと私の髪を混ぜながら言う。先程被せられた羽織りを肩にかけ直し、今度は二人で星空を見上げる。 願い事一つ 「…ありがとう」 握り合った手と手が心地好い熱を帯びる。 流星群が如く (お、流れ星) (何か願い事、したの?) (ん?あぁ…) (ちゃんと俺の所に落ちて来ますよーにって、な) (えー…?) (ま、もう叶ったから良いけど) ---------- 2009,08,29 |