ひとしきり鳴り終えたアラーム。 チュンチュンと小気味よい鳥のさえずりとブラインドの隙間から差し込む柔らかい日光。 もぞもぞとベッドの上で朝一番気持ちの良いひと時を堪能しながら、そろそろ布団から出よかどうしようかゆるゆると思案。と思えば、ガバリと突然跳び起きサイドテーブル上の時計を掴み数字と睨めっこ。 「やっば……遅刻…!!」 慌ててベッドを抜け出そうとすれば、何故かぐいっと腕を引っ張られ布団の中に逆戻り。 「ちょっと虎徹遅刻だって!」 「んー」 「んーじゃなくてもう十時!」 引きはがそうとするも存外強い力で掴まれており、取れる気配がしない。 どんだけ寝ていたいんだコイツは。 「好い加減ふざけてないで――――」 「休み」 「…は?」 「今日は休みだよ」 「いや、虎徹が休みでも私は休みじゃな………っ」 「だーかーら、俺もお前も休みだって」 ほら、とベッドとは反対側の壁に掛けられたカレンダーを指差され見てみれば、確かに赤い丸が付けてありその下にでかでかと書かれた『W Holiday(-ダブルホリデー-)』の文字。 「あ……本当だ」 「な、」 同じ日が休みな事など滅多に無いせいか、そもそも休み自体がまともに無いのでうっかり失念していた。 「あー…焦った…なんだ、そっか休み、かぁ…」 「そ、だからもうちょっと…ってあれ?」 緩んだ隙にここぞとばかりに虎徹の手からスルリと抜け出し大きく伸び。 「はいはい、折角の休みなんだからいつまでも寝てないで起きた起きた」 「ケチー」 「いい年してぶーたれ無いの」 未だ、シーツに包まった夢心地な虎に一喝。 たまの休みなのだ、有意義に過ごしたいじゃないか。 そろそろ起きろとシーツに手を伸ばせば――――― 「っと、スキ有り!」 「う、え?きゃぁぁ…っ!」 不意打ちで力一杯腕を引かれ、シーツの中に引きずり込まれる。 「ねぇもう起きなきゃ。朝ご飯の準備もあるんだし、」 後ろから抱きしめられ、逞しい両腕が体の前でクロス。 「折角二人一緒のたまの休みなんだから、さ」 首筋に温かい吐息。 チリリと当たる整える前の髭。 「ちょっとくすぐったいって」 身じろぎ身体を反転させれば厚い胸板とご対面。 「もう少し、こう…、させて」 啄むような甘いキス。 ちゅっちゅっと響く可愛らしいリップノイズ。 「、俺に食べられてて」 お命頂戴、唇も頂きます 朝からそんな誘い文句を言われて断れる訳が無い。 緩む頬を隠す様にシーツを手繰り寄せ、お日様に目隠し。 「あと十分だけ、ね」 「えー二十分」 「十五分、」 「りょーかい」 (Love me little, love me long.) (少し愛して、長く愛して) ---------- 企画:閉塞 タイトル:へそ 2011,06,16 濁点 |