×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


AM 07:00



朝起きて、一番にする事。重い腰を上げ、気怠い身体に鞭打ってベッドから這い出る事。


「っとに自分でオジサン言う癖にこれのどこがオジサンなの……?」


苦笑し、脱ぎっぱなしのシャツを羽織りバスルームへ。ベッドの中には未だ夢心地な一匹の虎。
温かいシャワーを頭から浴びれば少し、体力回復。それから一通り身支度を済ませ部屋に戻ればようやくお目覚め。


「目玉焼きとスクランブルどっちが良い?」
「お、おー……じゃあ目玉焼きで」
「了解」


いつの間にか切らす事の無くなったマヨネーズ。違和感無く置かれた家族写真。
しっかり焼目を付けたトーストの香ばしい香りにつられたのか、すっかり身支度を終えた彼が背後に。


「おっ、いーい匂い」


首筋近くで鼻をひくひく。そのままチュッとおはようのキッス。全くこのオジサンは無自覚にこうだから始末に負えない。


「おはよう、セラ」
「はいはい、おはようございます」


少しつっけんどんにあしらうも、ほんのり染まった耳で照れが隠し切れていないのはお互い承知の上。満足げにポンポンと頭を撫でられ幸福感。
焼きたてのトーストを皿に乗せ、それぞれにスクランブルとマヨネーズを添えた目玉焼きを盛りつければ出勤前の朝食だ。


「今日、仕事は?」
「んー出動がなけりゃ定時、だな。お前は?」
「私もヒーロー達の出動がなければ定時上がり」
「だな」


目覚めのブラックコーヒー、では無くダージリンの茶葉から入れたミルクティーをすすりトーストにかじり付く。


「そうそう、斎藤さんからもっとスーツを丁寧に扱えってお小言頂いたけど」
「あちゃーやっぱバレてたか」
「バレるに決まってるじゃない。メカニックなめんなよ」
「取り敢えず善処しますって伝えといてくれ」
「善処するけど多分、確実にまた壊しますって伝えとく」
「ハハ、さっすがセラ。分かってんな」


十年来のベテランヒーロー、正義の壊し屋さまは今更何を言っても変わらないものね。と厭味のつもりで言ったとしても、彼は喜ぶばかりだから敢えて言わないけれど。本当、ポジティブ。



AM 07:00



珍しく後片付けも終わってさて、仲良く同伴出勤と洒落込もうとすれば、互いの右手首のバンドからコール。


「あーまたワイルドタイガーの始末書書くので残業だわ……」
「失礼な!まだ何も壊してないだろ」
「まだね、まだ」


急いで家を飛び出て走り出す。同時に応答すれば朝からテンションマックスな斎藤さんの声が鼓膜を揺する。


「おわっ!」
「うわ……」


顔を見合わせ苦笑いも束の間、直ぐさまヒーローモードオン。


(Tomorrow is another day.)
(明日には明日の風が吹く)
(たくさん壊して、たくさん助けて来て下さいな)


----------
2011,05,25