日本人の血が入っていれば湯舟に肩まで浸かりたいと思うのは当然で。 長湯目的で温度は温めに。少なめに張るのは二人で入る事が前提だから。夜とはまた別の、早朝特有の澄んだ空気。晴れの日には柔らかく真昼とは違う遠慮がちに差し照らす朝日。 慣れた手順で支度をし服を脱ぎ、髪と身体を洗って湯舟でリラックス。 「朝はパンと米どっちが良い?」 「昨日駅前のパン屋さんでクロワッサン買ってきたからパン」 「お、マジか!あそこのパンはどれも美味ェからな!じゃあクロワッサンなら卵はスクランブルの方が良いよな」 「そうねー。あ、プチトマトがそろそろ熟れすぎちゃいそうだからそれも添えといて」 「了解」 歯も磨いて、髭も整えて。朝食会議をしながら入浴タイムをゆっくり堪能。 「お昼は今日、そっちに居るからバーナビーと斎藤さんも誘ってどこかランチにでも――――」 「あ、」 「え…何?」 「、勃っちゃった」 テヘと効果音が付きそうな舌出し笑顔。 三十も後半に差し掛かったオヤジがして良い顔じゃない。アンタの笑顔は全部反則的なんだから少しは自覚してもらはないとこっちの心臓、と言うか理性が持たない。 「今、この状況の何処に、そんな要素が?」 「ハハ……ッ何でだろう?朝勃ちだなんてまだまだ若いね俺も」 一緒に風呂に入ること事態、珍しい事ではない。夜に一緒に入ればそのまま………だなんて事はしばしばある。 しかし今は朝。それも昨日の夜、散々したばかりじゃないか。 「いやいやいや、私はもう若くないから…!」 「何言ってんの、セラちゃんの方がおじさんより十近く若いで、しょっ、と」 「あ、ちょ、虎徹!」 これはまずい、と直感で浴槽から立ち上がりかけるも間髪入れずに手首を引かれ逆戻り。 ザパン、とそれなりに広くそれなりに狭い、まあ言うなれば一般家庭の大きさのバスタブから飛沫が上がる。 「ぷ、はっ」 跳ねた飛沫が顔を直撃。 ふるふると顔にかかったお湯を拭っている間に、気付けば背中から抱きしめられる形でガッチリホールド。 「もう虎徹何すんのっひッや、ぁ……」 首筋をペロリ。 腰を撫で撫で。 ここは風呂場。勿論二人とも素っ裸。それを良いことにベッドの上より大胆に、直接的に煽ってくる大きな手。 「ちょっとちょっと虎徹さん?腰にナニかが物凄い勢いで当たってるんですけ、ど?」 「んん?わざと当ててるんですぅ」 ふざけた口調とは裏腹に熱っぽい吐息が耳を掠めジワリと疼く下半身。 完全に、ではないがまぁ半分は硬く勃ち上がったものが丁度尾骨の付け根から腰にかけて押し当てられ、湯舟の温もりとは別の熱を嫌でも感じる。 「こンのエロオヤジめっ」 「何とでもー?」 「あっ、や、バカ…!急に指挿れなッ、あ、ぁ!」 のぼせ上がる。 風呂のせい?それとも貴方のせい? 「セラだって準備万端な癖に、」 すんなり指を受け入れたそこはぬるま湯と共に掻き混ぜられる。 「、ふっ、あ…ァ……や、ン」 「そんなに煽られちゃァおじさん、朝から頑張っちゃうよ?」 「違っ、あぁも、う!」 腰を掴む手が緩んだ隙に身体を器用にすかさず反転。 うっすらと色付いた頬。濡れた垂れ目と口で言うより実は、それ程余裕は無い欲情した顔を見ればほら、理性がプツリ。 「ッ煽ったのはお互い様なんですから、ね、!」 欲に負け、溜まらず悔し紛れに噛み付くよう上から口を塞ぐ。 一瞬驚いた後のしたり顔。乗せられた自覚は大有りだ。 本能と煩悩にボンジュール (貴方の身体がそこにあって) (お前の唇が濡れてた日にゃ) (どうにかならない方がどうかしてる) ----------- 2011,07,03 企画:入欲中 タイトル:リリパット |