ひとっ風呂浴びて、とは流石にいかないのであっついシャワーを頭から浴びた。 ヒリリと肌を温めるシャワー。タイルに当たって跳ね返ってくる温度が多分、通常の熱さ。 キュッと蛇口を閉め、渇いたタオル片手に髪を掻き上げる。勢い良く立ち上る白い湯煙を身に纏い、大きく息を吐く。 「よし、」 鏡に映った表情を確認し気合いを入れ、脱衣所を後にする。タオルを首から提げ、濡れ髪をわしゃわしゃと拭きながら廊下を歩いていれば丁度ハンサムがそこに。 「随分と余裕ですね」 嫌味では無く単純に驚きからの問い。 「いつまでもうじうじ悲観してたってどうしようもないし、切り替えが大事」 「しかし本当に病院に行かなくて――――」 「くどいよ、"バニーちゃん"」 「なっ、僕はバニーじゃありません」 「そうそう、それそれ」 背伸びをし、腕を目一杯伸ばして彼の頭をくしゃりと撫でる。 「バーナビーは余計な事は考えないでジェイクとの戦闘の事だけを考えてればいいの」 全く誰のお節介が移ったんだか。と苦笑すればふい、とバーナビーは顔を横に反らす。 「入院ごときで一々心配してたらヒーローワイルドタイガーの彼女も鏑木・T・虎徹の彼女も務まらないでしょ」 「フッ、貴女らしい」 瞳が見開かれ、そして細められる。何か、荷が下りたのか幾分か柔らかくなった表情に世話が焼ける相棒だと心の中で苦笑。 希望と言う光がなければ暗闇も生まれない 「セラ!間に合いそうか!?」 「間に合わせるに決まってるでしょう!そっちこそ大丈夫なんですか斎藤さん!」 「当たり前だろう!誰に物言ってるんだ!」 アニエスからの出動コールと共に目を覚ました虎徹に、全くこのヒーロー馬鹿はと呆れと安堵の溜め息を吐いたのも束の間。メカニック泣かせからの今年一番の緊急依頼。 俺じゃなきゃ駄目なんだ、と痩せ我慢した身体で言われてしまえばこちらも二つ返事で出来ると言う他無い。 十分、いや五分で閃光弾を作り上げられるのは多分、私と斎藤さんだけだ。 「行ってこいワイルドタイガー!」 (It is a long lane that has no turning.) (災いはいつまでも続かない) (バディ、って良いですね) (何を言っているんだ。キミと僕も良いコンビじゃないか) (、斎藤さんにそう言って頂けるなんて光栄です) ---------- 2011,06,29 |