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光とは何か、闇とは何か


緊迫した空気。
ほんの数分がとてつもなく長い時間に感じられた。


「喰ワ…セロォオォォ!!」


地鳴りにも似た唸り声を上げながらAKUMAは襲い掛かってきた。
空かさずロザリオを握る。
握られた大きめの十字架は光を放ち黄金に輝く。


「イノセンス発動」



Lost of eden



その光に驚いたのかAKUMAが一瞬たじろぐ。


「オマエ…エクソシ、スト…カ、?」


光によって露にされたAKUMAの姿は醜い巨大な獣の姿をしていた。
ボール型でないのを見るとどうやらレベル2の様だ。それももう直ぐ進化するであろう―――


「AKUMAが教会の中に潜んでいるだなんて、滑稽ね。町の人達はどうしたの?」


皮肉混じりな台詞を吐く。
しかしAKUMAからは決して目は離さない。


「町ノ、人間?ク…クク…ソンナモノ…全部喰ッテヤッタニ、決ッテルダロウ!」


オ陰デ進化モ出来タシナ、と裂けんばかりの口を更に大にして笑った。


「マァ襲ウマデモ、ナカッタ。ミンナ教会ノ中ニ、逃ゲ込ンデ来タカラ、ナ」


耳を劈くような笑い声。
ギリっと下唇を噛みAKUMAを睨み上る。


「アト二人デマタ進化!」


ギラついた目をこちらに向け、再びAKUMAが襲い掛かってきた。一先ずティキを安全な場所に誘導すると、レイラはAKUMAに向き直る。


「Bare wolves」


涎をドバドバと口から垂れ流しながら飛び掛ってくるAKUMA。
しかしその口は獲物を捕らえることなく、現われた銀狼に喉元噛み千切られた。


「あぁ…アアァギャァ、ァ!!」


断末魔の叫び声が消えていくのと同時に、魔道式ボディーもパラパラと砂とも塵とも付かない物質に変わっていった。
銀狼はそれを見届けると何処へとも無く姿を消す。


「ヒューおみごと」


パチパチと手を叩きながらティキはレイラへと歩み寄る。


「大丈夫だった?」


急いで駆け寄る。


「おー大丈夫、大丈夫。それよか凄かったなァ。あの銀狼がレイラのイノセンスなのか?」


元気そうなティキを見てレイラは安堵の表情を浮かべる。


「ううん。私のイノセンスはね、このネックレスよ」


そう言って金色に光る十字架のネックレスを首から外しティキに手渡した。



光とは何か、闇とは何か



手渡されたそれは己の手の内でも変わらず輝いていた。
拒絶される事も、拒絶する事も無く。

(これ、は――――)

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2006,12,11
2010,03,22加筆修正