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始動


時は仮想19世紀
場所はヴァチカン
その一角の絶壁には重々しく聳え建つ黒の教団があった。



Lost of eden



「ベルベット殿」


ドンドンと自室のドアを叩く音で目が覚めた。
急いでドアを開けるとファインダーらしき人物が

「コムイ室長が朝食を取り次第、至急司令室へ来るようにとの事です」

と言付けて去っていった。

こんな朝早くから呼びつける時は大抵任務の説明に決まってる。
寝起きのせいで朦朧とする頭を無理矢理叩き起こして、団服に着替え朝食をとりに食堂へと向かう。



「おはよう、レイラ。今日は何食べる?」

「おはよう、ジェリー。
オニオンスープとサラダとバターロールをお願いできる?」


簡単な挨拶を交わしながら、朝食を受け取り窓際のテーブルへと腰掛ける。
まだ完全に起ききっていない体を起こすように、オニオンスープを流し込んでいく。
すると食堂の中央辺りから騒ぎ声が聞こえてきた。


「もういっぺん言ってみやがれ、ああっ!!?」

「うるせーな。メシ食ってる時に後ろでメソメソ死んだ奴らの追悼されちゃ味がマズくなんだよ」


(あーあ、またやってるよ…)

神田とファインダーのやり取りを横目にしながらレイラはバターロールをちぎって口へと運ぶ。


「テメェ…それが殉職した同志に言うセリフか!!
俺達ファインダーはお前らエクソシストの下で、命懸けでサポートしてやってるのに…
それを…それをっ…メシが不味くなるだと――――!!」


大柄な男が神田に向かって拳を振り下ろす。
が、神田はそれを避けると片腕で男の首を鷲掴みにし、持ち上げた。


「うぐっッ!」

「「サポートしてやってる」だ?違げーだろ。サポートしかできねェんだろ。
お前らはイノセンスに選ばなかったハズレ者だ」


ギリッと手の力が強まる。

(いつまでもメソメソしてる方もどうかと思うけど、喧嘩っ早い神田の方もどうかと思うけど…)

『私は無関係です』っといったスタンスを決め込み黙々と食事続け、トレーと食器を片付けようと席を立つ。


「げふっ…」

「死ぬのがイヤなら出てけよ。お前一人分の命くらい、いくらでも代わりはいる」


―――ガッ!!


「ストップ。関係ないとこ悪いですけど、そういう言い方はないと思いますよ」


(あの神田に楯突くなんて珍しい…)

チラリと騒ぎの方を見てみると、そこには見かけない少年がいた。

(昨日の新入りさんね。名前は確か…)


「……放せよモヤシ。」

「(モヤ…っ!?)アレンです」


(そうそうアレン、アレン・ウォーカー。
まだほんの15歳だっていうのに随分としっかりしてるのね)


「はっ1ヶ月で殉職しなかったら覚えてやるよ。ここじゃパタパタ死んでく奴が多いからな。こいつらみたいに」

「だからそういう言い方はないでしょ」

「早死するぜお前…キライなタイプだ」

「そりゃどうも」


やっぱり神田とは中々仲良くできる人はいないようだ。
互いにいがみ合う二人を背にして、トレーと食器をカウンターに返却し司令室へと向かおうとした時だった。


「あ!いたいた!レイラ!神田!アレン!10分でメシ食って司令室に来てくれ!任務だ」


遠くからリーバーが声をかけると、一旦二人の険悪なムードは和らいだ。





「室長!コムイ室長!……リナリーちゃんが結婚するってさー」

「リナリィィー!!!お兄ちゃんに黙って結婚だなんて、ヒドイよぉ―――!!!」


室長室に向かえばこの有様。
いつもの事とは言え、泣きじゃくるコムイは正直ウザい。


「さて、時間が無いので粗筋聞いたらすぐ出発して。詳しい内容は今渡す資料を行きながら読むように。
そうそう、今回は2人で任務に行ってもらうからね」


その言葉に神田とアレンはあからさまに嫌な顔をした。


「え、何ナニ?もう仲悪くなったのキミら?けどワガママは聞かないよ」


そう言ってコムイはシャッとモニターを落とす。


「南イタリアで発見されたイノセンスがAKUMAに奪われるかもしれない。
早急に敵を破壊し、イノセンスを保護してくれ」


コムイの簡単な説明が終わるとお互いに自己紹介を交わした。
が、神田はブスッとして口を開かないから、結局私が二人分の自己紹介をする羽目になるのだが。


「私はレイラ=ベルベット。こっちの仏頂面してるのが神田」


“仏頂面”が気に食わなかったのかジロリと睨まれた。
が、本当のことでしょうと目で訴えれば更に機嫌が悪くなる。


「さてと、そろそろ行ったほうがいいのかしら?あまり時間がないみたいだし」

「そうだね。あっでもレイラちゃんは別任務だから。2人が出発した後残ってくれるかな?」


その言葉に再び神田とアレンは嫌な顔をした。
それを見たコムイは、始に“2人で”って言ったでしょ。と悪戯な笑みを零す。
まったく室長と言いこの二人と言い。


「神田、アレン君と仲良くしなさいよ」

「チッ」

そんな二人を見越してレイラは声を掛けたが、多分仲良くするなんて事は天地が引っ繰り返っても無理な話だろう。



始動



(転がり出したら止まらない)

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2006,05,14
2010,03,22加筆修正