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13



師の墓前。出立間際にようやく揃った各々の頭は、一度だけ盃を交わす。
数千と数万を率いる陸奥と桂。二人と一匹を護る銀時。過去を背負う高杉と今を背負う沙樹。そして鬼兵隊幹部、来島また子。


「必ず返せ」


差し出されたのは長年使い込まれた仕込み刀。俺がお前を死なせない、とでも言うような重さと温かさを感じた。


「俺はお前でお前は俺だ」


この戦を決意したあの瞬間から、それは変わりなかった。棄てたものと同じだけの覚悟を背負う。
漆塗りの刀を左に差し込む。
高杉と銀時を残し、一斉に背を向け歩き出す。
ベベンと花に舞う三味線の音。もうじき満開を迎えるであろう七分咲きの桜の木が、風に橈った。



Dark in the pool



完全に幕府を掌握し、全宇宙に江戸幕府の終わりを知らしめたのを確認するとゆっくりと江戸に背を向ける。
決して無傷とは言えない風体の彼女は、それでも眉間に寄せていた皺は薄れ、嘗ての様に柔らかい笑みがちらついた。


「帰ろうか、"また子ちゃん"」

「ッ、はいッス!」


優しく抱き寄せた金糸の髪は懐かしい香がした。



墓前にて帰還



(死ぬ度胸より生きてゆく勇気を、)


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2010,05,19