緩くアップにした髪。そこから垂れる後れ毛。鍛えられた白い筋張ったうなじにゴクリ、生唾を飲む。 ―――エロい 単純に、普段見慣れていないと言う事もあるが本当に、もう…… 「誘っているとしか思えないわ……」 「はい…?」 お盆休みの帰省と日本のFestival、縁日を見せる事も兼ねて実家、この場合虎徹の実家も同時に指すオリエンタルタウンにやって来た。 古きよき日本の田舎風景が物珍しいのか、到着直後からキョロキョロと辺りを見回しては瞳を輝かす姿に母性本能をくすぐられる。 「でも、子供じゃあないのよね」 虎徹から借りた浴衣。我ながら中々上手く着付けられたと思う。 濃紺の生地が、プラチナブロンドの髪と白い肌、エメラルドグリーンの瞳を引き立てる。 やっぱり欲情、色男。 「浴衣にうなじの組み合わせって何でこう、ムラムラくるのかしら」 「ムラムラって……最近言動が虎徹さんに似てきましたよ」 呆れ気味に一呼吸。 その仕草すら色気。 「それに、僕ばかりが色気があるみたいに言ってますけど、充分レティも――――」 ぺろり、ちゅう――――― 飴を舐めるように、果実を食むように。 「危険、だ。こんな風に食べてしまいたいくらいに」 「、反則…!」 下駄を鳴らして夕暮れ小道に影二つ。 絡ませた指と指が少しだけ熱を帯びる。 浮世に艶華 「でも、確かに…浴衣とうなじは結構クる、な」 「お、ジュニアくんも中々分かってきてるじゃない」 石畳の階段を上り終えれば熱気と共に軽快な祭囃子と的屋の呼び込み。醤油にソース、マヨネーズ。粗目の溶ける甘い香り。 「凄い…」 「でしょ?」 はしゃぐ子供に同じくはしゃぐ大人。 今日ばかりは、祭りの時ばかりは羽目を外して馬鹿やって、浮かれてしまえば良いのだ。 「さて、花火まで大分あるから片っ端から攻めますか?お兄さん?」 「随分はしゃぎますね、」 「あら、年甲斐もなくっ、て?」 「いえ、そんなこと」 見返り美人とはこのことだ。 屋台の裸電球のオレンジ色に照らされて、キラキラと白地に江戸紫とストロベリーレッドで描かれた菖蒲の柄が眩しい。 普段よりは薄い化粧、ベッドの中よりかは色付いた瞼。 流し目にドキリ。 「行きますか」 スマートにエスコート、と再び差し延べた手は不意に強く引かれ履き慣れない下駄のせいも相まって前のめり。 彼女の息が首筋を撫で、しっとりとした触感を肌に受ければ次いで、チリリと良く知った痛み。 「虫よけのおまじない」 唇に当てた指がいやらしくて、嗚呼、なんて人だ。 首筋にそっと手を這わせ、やっぱりと確信。 「っ反則、だ」 「やられたらやり返す方、ですもの」 (煽情的なボクら) ---------- 2011,08,17 |